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#9 椅子※
「ふえぇ……」
小さな赤子の鳴き声が聴こえて、目を覚ます。
ベビーベッドに寝かせた可愛いあの子は寂しがっているのだと、迎えに行ってあげようと思って身体を起こす。
「ウミャミャ」
モフは、いつの間にか自力でオレのベッドに登れるようになっていた。
「自分で来れたの、偉いね」
枕元でくるくると2回半回り、お気に入りの場所が見つかったモフは身体を横たえる。
ヒクヒクと動く鼻先と、とろりと半分になるピンク色の瞳。
日時計によれば、ちょうど日にちの移り変わり、つまり真夜中だ。
「まだ眠たいでしょ、寝てていいよ」
一日のリズムが大体決まっているモフにつられて、オレの生活もかなり整ってきた。
寝たい時に寝て、起きたい時に起きる、そんな原始的な生活だとモフと遊ぶ時間が減ってしまうから。
小さく上下する腹をトントンしてやれば、徐々にゆっくりになってゆく呼吸。
何度か寝返りを打ち、壁にぴったりと寄り添ったまま、モフは寝入ることに決めたようだ。
「おやすみ」
再びヒトの姿になったモフに布団を掛けて、柔らかな髪にキスを落とす。
最近はこの姿で起きている時もあるけれど、相変わらず稀だ。
この小さな手を引いて歩いたり、可愛い声でオレの名前を呼んだり、して欲しいと、そう思ってしまう。
愛らしい笑顔を向けてくれるだけでは飽き足ら、ず、もっともっとと、欲が出てしまうのだ。
「ルル」
どこから聞こえてくるのか分からない声。
カーテンから透ける薄ぼんやりとした日差しを遮る大きな影に、身体を覆われる。
「今日のこと怒ってる? 外出してくれてても良かったんだよ」
「嫌。アイツなにしよるか分からんけぇ」
「素材を持ってきてくれただけだよ……心配なら今度、オレの生家に行ってみようか?」
首に回された逞しい腕に寄りかかる。
背中にぴったりと寄り添う彼の胸から、衣類越しにゆったりとした鼓動が伝わる。
「同族が恋しいなら俺もそうなったるわ」
今の貴方が一番好き。
どんな貴方でも大好き。
彼が求める答えはどちらなのだろう。
◇◇◇
「泣いとるん?」
「わか、らなっ、ぁっ」
リリエリと行儀の悪いティータイムを楽しんでいたソファに、今は力なく爪を立てている。
糸がぎゅっと詰まった固い布地に染み込んでゆくのは、汗が混じった、涙のような。
内腿が痙攣する程の快感を享受するのに精一杯で、溢れる体液に気を留めていられない。
「んぁぅ」
「は……、ここ好きよな?」
「っ、すき」
グリグリと一番奥まで突っ込まれて、圧迫されているのも好きだけど。
尻の肉がぴったりとオレを犯す彼の腹にくっついて、肌が擦れるのが、凄く好き。
「アビ、触って、」
冷たい手が腹の真ん中を優しく撫でる。
確かにそれも気持ちいいのだけど、もどかしさが勝つ。
「っ、そこじゃなくて」
「ここなぁ、いいんじゃって」
「あっ、ぁ、あっ!?」
するりと下腹部寄りに伸びてきた指先に、皮膚を強く押された、それだけだったのに。
意味のわからない程強い刺激が、脳を揺さぶるようだった。
「なに、なにっ……!?」
「前立腺気持ちええね、ルル」
さっきまで散々、粘膜越しに弄られていた前立腺。
外皮の上からも圧迫されるなんて思ってもいなかった。
「も、むり、むりっ」
快感から逃げたくて、震える手でソファの背もたれに手を掛ける。
けれどもアビシェラが、そんなオレを許すはずもない。
「ソファ舐める趣味はないんよ、全部手で受け止めてな」
剥がされた手でペニスの先端を包むように誘導される。
支えを失った身体はアビシェラの大きな手だけが頼りなのに、肝心のその手はオレの腹を押しているのだ。
「ィ、イく、でちゃう」
「ええよ、舐め取ったるけぇ零さんでな」
気持ち良さから逃れたいのにできない。
ソファの固い布に擦れる額がヒリヒリするのに、それすら興奮材料になってしまう。
ぬるぬるとした体液を吐き出す亀頭をぎゅっと握りしめながら、呆気なく吐精した。
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