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第10話
今俺の目の前にいる人は
半月前に俺が自分勝手に拒否をしてしまった人だ
同じ席で向かい合わせ
あれからショウさんは何食わぬ顔でお店に入ってきて珈琲を1杯頼むとにこにこと目の前に座った。
いや、待ち合わせとかしてませんでしたよね?
「コウくんあれから大丈夫だった?」
ショウさんは笑みを崩さず俺に聞く
切れ長の目が更に細く、顔立ちも整っていて格好いいよなぁ
って、あれ?いつの間に『くん』呼びになっていたんだろう
「お陰様でその節は……というかお金!すみません払って頂いたままでお返しします!!」
「え、いいのに それよりも元気になった?」
この人は……1回しか会ったことは無いが天使かなにかなのだろうか?俺なんかにこんな風に接してくれて、どこまでも優しさで溢れている
でもあれだけ迷惑を掛けてしまったんだ
その優しさに甘える訳にはいかない
「そういう訳にはいかないのでお支払いさせてください」
ショウさんは真剣な顔の俺にきょとんとした顔をしながら手に持っていた珈琲のカップを下ろすとカチャリとソーサーに触れる音がした。
それからうーんと表情を曇らせるとテーブルの下で俺の手に指を絡ませる
「…っ」
一気に顔が熱くなるのを感じる
「コウくん表情に出やすいんだね、お金は気にしなくて良いんだけどそうだなぁ」
すりすりと指同士をくすぐったいくらいの強さで擦らせると指の付け根辺りを擽るように触れる
まるで愛撫されている様だ
目を逸らして必死に変な気持ちになってしまうのを耐えている俺を見てくすりと笑うと
「また今日の夜会ってくれないかな?」
へ?
心の中で言ったつもりだが、どうやら顔に出ていたらしい
ショウさんのにこにこ顔は更に笑みを増した
この人案外Sっ気もあるのかも
「あ!でも今度はえっちな事ではなくてお話したいなって思ったんですよ 純粋に。」
今の行動でどう信じればいいのか……
火照る頬をパタパタと手で仰いで冷やす
かと言って俺もお礼や謝罪もしたいとずっと思っていた訳で、今日の夜は丁度空きがある
……見栄を張った
最近はあまり人と接したくなくて直帰していたので常に空いている状態、我ながら失恋をまだ引きずっているなんて女々しい。
ショウさんの提案を飲んで
お金はその時に返すと伝えたが見事にそこだけスルーされて連絡先だけ握らされてしまった、それでなくともお金以外にも仮があるっていうのに不本意そのものだ。
珈琲の香ばしい香りが鮮明に記憶に残った。
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