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act:溺愛②
『ああぁっ、すごっくイイ……もっと、そぉ……ん、克巳さ、ぁあんっ』
(ここはどこだ――?)
むせ返りそうなくらい花の香りがする部屋の中、稜の両手を握りしめながら腰を動かし、激しく責め立てる自分の姿がそこにあった。
「どっ、どうして俺はまた、君とこんなことに!?」
『何、可笑しなこと、んんっ……言ってんの。克巳さんがいきなり俺のことっ、はぁあん……襲ってきた、のにぃっ!』
「君はまた、俺に薬を使ったのか?」
『薬なんて盛ってないない。あぁっ……もう、好きだなんて言って告白してくれて、ふぅっ……嬉しかったのにね』
――俺が稜のことを好き、だと!?
『んんっ……正確には俺の躰が、好きなんだろうけど。それでもっ、いいよ俺は。だって……んっ、克巳さんとは結構、相性がいいからさ』
突然すぎる状況に飲み込まれ、そのまま固まる俺の腰に、両足をぎゅっと巻きつけてきた。
『余計なこと、考えないで今は一緒に……あぁっ、楽しもう、よっ……ほら、克巳さんの大きいので俺を、いっぱい感じさせてってば』
目を細めながら、俺のモノを中でぎゅっと締めつける稜。繋がれている手からも、彼の熱が移ってきた。
『もっともっと……俺に克巳さんをちょうだい。ほら――』
半開きになった唇の隙間から、淫靡な舌が俺を誘うように動いた。迷うことなくそれに導かれ、密着するように唇を重ねる。
彼の舌が出入りするリズムに合わせて、下半身でソレに応えるべく打ちつけてみた。絡まる唾液の音と下からもたらされる、ぐちゅぐちゅという卑猥な音が混ざり合い、俺自身の高まりが一層大きくなっていくのを感じる。
「稜……君が好きだ。もっと俺を求めてくれ」
何故だか彼に求められると、胸の奥に疼きを強く感じた。それを確かめたくて、言葉にしてみると、さっきよりももっとドキドキが高鳴っていって――眉根を寄せて感じている稜が、愛おしくて堪らない。
『ぁあっ……俺も克巳さんが好き。そうやってイきそうなのを必死に堪えてる顔が、何とも言えない』
「稜っ、稜――俺だけを見てくれ」
薄く笑っている彼の視線の先に映っているのは、理子さんだけなんだ。分かってる……分かっているけどこの瞬間だけは、俺だけを見てほしい。
「君の中に、俺を深く刻み付けたい。離れらないように」
そう告げた瞬間、稜のいた場所に突然、理子さんが現れた。
『克巳さん嬉しい。もっと私を愛して……』
俺を求めるように伸ばされた腕を、反射的に払いのけてしまう。驚いた理子さんの表情で、ぱっと目が覚めた。
「ゆっ、夢だったのか。やけにリアルだった――」
起き上がり、額から零れ落ちる汗を拭う。身体の芯が、じんじんと熱を持っていた。
――彼が欲しくて堪らない、稜のことが頭から離れない……
自分のワケ分からない感情を何とかしたくて、彼のマンションに通ったのだが、出張中なのかずっと留守だった。
気が狂いそうな欲情に包まれながら通い続けた三日後、やっと逢うことが出来た。
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