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毒占欲番外編:束縛される夜

 毒占欲番外編でこれから書くシナリオ【モテ星座】で稜くんの恋人克巳さんが、蠍座であるのをちゃっかり書きます(・∀・)。  蠍座は12星座中、束縛ランキングが第1位!  蠍座の愛は白か黒か、疑わしきは束縛すべし! (うんうん、きちっきちに麻縄で縛りあげるな(´∀`)って、これってば、ただの拘束じゃん!)  研ぎ澄まされた洞察力が、束縛心に火をつける! (そうだね、蝋燭に火を点けてぽたぽたしちゃうかも)  蠍座は「ゼロか100か」「白か黒か」思考が両極端になりがちです。つまり蠍座にとって、愛と憎しみは常に隣り合わせ。  可愛さ余って、憎さ100倍の感情に切り替わることは日常茶飯事。加えて、ほかの追随を許さないほど洞察力に長けているため、恋人のちょっとした変化もすぐに察知します。 「もしかして、意識が自分以外に向かっているかも」と気づいた途端に、己の情念に任せたドロドロの束縛感情が、ひょっこりと顔を出すでしょう。  ちなみに恋愛合理主義ランキングは12星座中、最下位です(・∀・) その結果は、上記に現れているから。  蠍座の恋愛は合理主義からかけ離れた、ドロドロ愛憎劇となる傾向が強く、蠍座本人もドロドロでなければ、恋愛している気がしないらしい。  まぁ、こういう洞察力やドロドロの愛憎劇を経験してるからこそ、いろんなモノが書けるんです(ノω`)  面倒くさいヤツでごめんなさいと、謝り倒してばかりの蠍座作者ですが、お付き合い戴けたら嬉しいです。 *** 「バレンタインの日くらい、一緒に過ごしたかったな」  ときとして、自分のやってる仕事がひどく恨めしくなる。それでも克巳さんが『稜が一番よかったよ』なんて褒めてくれるから、文句を言いつつも頑張っちゃうんだよね♪ 「ただいま~!」  鍵を開けて、家の中に響くように声をかけた。なのに、いつもならすっ飛んでくる克巳さんが、今日に限って出て来ない――。  家に明かりがついてるし、テレビの音も聞こえてるから、在宅なのは分かってる。タイミング悪くトイレかも?  何か調子狂う……。離れてた距離を埋めるように、玄関で襲われるのが当たり前になっていたから。  手に持ってるボストンバックが、急に重たく感じた。まるで今の俺の心みたい。 「やだな……。いつもと違うだけで、こんな風に揺らいでしまうなんて。俺らしくもない。明るく振る舞わなきゃ」  リビングへと続く扉を開け放つと目に映ったのは、ソファに座って、何かを読みふけっている克巳さん。 「あの、ただいま……」 (真剣に何かを読んでいたから、俺の声に気づかなかっただけなんだよね?)  ボストンバックを足元に置いて、克巳さんの傍に行こうとした。  行こうとしたんだけど、振り向いたその顔つきが、えらく厳しいもので、ぴたりと足が止まってしまう。 「……お帰り稜」  低い声色で告げられた言葉は、感情がないみたいだ。何が一体、どうしてしまったというんだろう? 「あの……どうしたの克巳さん? 俺ってば何か気に触ることでも、知らない間にしちゃったのかな?」  留守中の連絡を怠ってなかったし、自分の気持ちを常に伝え続けていたし、浮気だって勿論しちゃいない!  だから、こんな態度をされる覚えはない――。 「稜、君のそういう無自覚なところ、本当にイライラさせられるな。これは一体どういうことなのか、きっちりと説明してほしい」  持っていた本らしきものを、投げつけるようにテーブルに置く。それは、今日発売された週刊誌だった。 「あ……、これって――」 【今週のスクープ! 葩御 稜に新たな恋人発覚!? バレンタインの聖なる夜に、一緒に過ごしたお相手】  こういうイカサマな記事で、毎度のごとく恋人をでっち上げられ、俺と噂された相手は一時的ではあるが、脚光を浴びる。 「バレンタインの日、浮気はしてないって電話で言ってたが、実際はどうだったんだろうか」  ソファに座ったまま腕を組み、テレビを見たまま言い放つ克巳さん。  偶然なんだろうけど、そのテレビには俺が出ていて、バカ騒ぎしているバラエティ番組の様子が、今の雰囲気をぶち壊すには、持って来いの材料にしかならなかった。  でもおかしい――こんなこと日常茶飯事になってるのに、今更不機嫌になって、突っ込んでくるなんて。 「何かタイミング悪いところを、激写されちゃったみたいで。それは違うから。あのね」 「……タイミングか。記事にするには、バッチリだったってことだろう? 狙われてるのが分かっていて、わざわざ行動したワケなんだ」 「だって、帰るホテルが同じだった。それだけなんだよ! それに写ってるの、二人きりみたいな感じになってるけど、他の共演者もいたんだ。信じてってば!」 「だから安心しきって可愛い女のコとふたりで並んで、楽しそうに歩いていたということか」  いちいち言うことに、トゲがありまくる。らしくないな……。他にも、何かあるんじゃないのか!? 「あのね克巳さん、俺はアナタだけだよ。アナタ以外、誰も欲しくないし、いらないから」  もしかして毎回誰かと噂されている状態が、克巳さんの心に強いストレスになったのかもしれない。長期間じゃないけれど離れている間に、疑心暗鬼になってしまったのかな。  相変わらず座ったまま、こっちを見ようともしない彼の肩に、そっと手を置いた。振り払われたら立ち直れないかもとびくびくしながら、肩に触れ続ける。  てのひらに伝わってくる、克巳さんの体温。  ずっと触れたくて堪らなかったのに、今の状況は最悪すぎて切なくなった。しかも相変わらず無視したままは、俺としては辛すぎるよ。 「稜……」  眉間にシワを寄せて振り向き、やっと俺の名を呼んでくれた。 「な、に?」  このイヤな空気を、どうしたら良くできるんだろう? 謝れば何とかなるのかな――ムダに心臓がバクバクしてる。  肩に置いていた俺の手をぎゅっと掴むと、一気に引き寄せられた。そのまま克巳さんの上に跨ってしまう形になって、内心慌てふためく。 「浮気してない証拠、今ここで見せてごらん」  俺の下で意味深に微笑みながら、頬をそっと撫でてくれた。  浮気してない証拠って、今はすっげぇャバィ・・(-ω-;)  だってここに来る前に、こっそりとヌいてしまったから。いつも早くイってしまう自分を何とかすべく、先手を打ってみたのに――だからいつもと違うのが、バレてしまう可能性が大。  多分どんなに頑張っても、アッチが大にならないという(涙)  どうしよう――。 「どうしたんだ? 何か都合の悪いことでも、隠しているみたいな顔してるけど」  Σ(゚Д゚;)ギクッ 「やっ……、そんなことないよ、あはは! どうやって証拠を見せようかと、アレコレ考えてたんだ。ほら俺ってば、エンターテイナーだからさ」  誤魔化しきれない下半身の事情を、どう表現してやろうか。よりによって、タイミングが悪いにも程があるよ。 「何をしてくれるんだろう、楽しみだね」  喉で低く笑いながら告げられる言葉に、うっと顎を引くしかない。 (――と、とりあえずここは無難にしてみよう……)  邪魔になる長い髪を耳にかけながら、克巳さんの顔に近づいた。薄い唇に向かって、キスをしようとしたら、肩をぐっと掴まれてしまう。 「!!」 「そんなことで、浮気してないって証明がちゃんとできるのか? 安易だよ稜」 「克巳さんにとっては安易かもしれないけど、俺にとっては大事なことなんだよ。アナタとのキスはその……」  気持ちイイだけじゃなく、愛を感じるから。伝わってくるんだ、俺のことが好きだって。 「余計な言葉を塞ぐため?」 「ちがっ、そんなんじゃなく俺は――うっ!」  反論が見事に塞がれてしまった。だっていきなり下から腰を動かして、克巳さん自身を感じる部分に、ぐりぐりっと押しつけられてしまったから。  既に形を変えてるソレに、否応なしに感じてしまって、勝手に息が上がってしまう。 「俺はの次は……何だい?」  いつもなら流れるように言葉が出てくるのに、克巳さんから放たれる無言の圧力が、俺の言葉を奪っていく。目つきが鋭いんだ、まるで責めているみたいに。  下唇を噛んで固まる俺の左手首を掴むと、人差し指を口に含んだ。 「ぁあ…ん、っ……克巳さ……」  くちゅくちゅと音を立てて吸いながら、舌を絡ませつつ、じっくりと舐めあげられると、呼吸が勝手に乱れてしまう。  身体が熱い――俺も克巳さんに触れてあげたい。感じさせてあげたいから……。  散々舐られて透明な糸を引く自分の人差し指を見て、同じようにしてあげようと、克巳さんの手を取った。  だけど振り払われて、虚しく空を掴む。 「克巳さん……」  イヤだ、こんなの。何だか俺だけ興奮して、すれ違ってるみたいだ。一緒に感じたいのに――。 「稜、反省してる?」  脇腹から、ゆっくりと下りていく克巳さんの両手。布越しでも伝わってくるその熱さとか、触れられているゾクゾク感で、気がおかしくなりそうだ。 「ンンッ! は、反省し……ふぁ、っ」  下りきった両手で大腿骨を撫でてから、ギリギリのラインを描いて、太ももに伸ばされた。  触れてほしいトコに触れず、イジワルをする克巳さん。これも、反省させるためなんだろうか? 「そんなモノ欲しそうな顔しても、コレはあげないよ。反省していないようだからね」  そう言いながらも、下から容赦なく突き上げられた。    そんなことをされたら何としてでも、克巳さんが欲しくなるじゃないか。  相変わらず両手は太ももをゆっくりと撫で擦っているだけで、それ以上のことをしてくれない。  つらすぎる――心も身体もこんなに、克巳さんを欲しているのに! 「お願いだ、から……反省するか、らっ…んっ、克巳さ…んをちょう……だ、い……」 「ふぅ、困ったコだね君は。ここまでしないといけないとは、存外ガンコなんだな」  よいしょと言いながら起き上がって、ぎゅっと俺の身体を抱き締めてくれた。髪を梳くように、優しく頭を撫でる。 「克巳さん?」 「ごめんなさい、これから気をつけます。の謝罪は?」 「きっ、気をつける、絶対に! ゴメンなさい!」  畳み掛けるように話しかけられたので慌てて答えると、克巳さんは俺の頭に顎を乗せて、やれやれと小さく呟いた。 「マネージャーさんが俺にグチるのが、すごく分かる気がするよ。全然コトの重大さを、理解していないんだから」 「俺のマネージャー?」  克巳さんのあたたかさを実感しながら、安心してぎゅっと抱きついたら、強く抱きしめ返してくれた。 「そうだよ。稜のイメージダウンに繋がるような相手と噂されたらどうしようって、いつも冷や冷やしているんだよ。もう少し考えてあげなきゃ、彼が可哀想だ」 (もしかして、俺のマネージャーのことを考えて反省させるべく、今まで演技していたのか!?) 「克巳さんすげぇ! すっかり騙されちゃったよ。ねぇ、俳優にならない?」  はしゃいで言った俺の頭を、コラッと怒って軽く叩いた。 「これからちゃんと、周りに気をつけて行動すること。分かったね? それに俺は君のように、器用な人間じゃない。なので俳優は無理だよ」  よいしょっと横抱きしてから、ゆっくりと立ち上がり、寝室に連れて行ってくれる克巳さん。  俳優の件、すっげぇ残念だな。 「これからが本番。反省しながら感じてくれ」 「何だかなぁ、それ……。反省はするけど、終わってからでいい? 克巳さんをじっくりと感じたいし」 「分かった、本当にしょうがないコだ。ちゃんと反省するんだよ」  念を押されて言われたので、きちんと反省することを決意したけど、それは次の日のお話になることを、俺は知る由もなかった。

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