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ピロトーク:ゲイ能人の 葩御 稜(はなお りょう)

※【ピロトークを聴きながら】の作中に、上記タイトルで稜くんが出ます。 まずは軽く? 準備運動からでしょうか!? 安定の18禁なふたりです。 ***  ピンポーン♪  克巳さんが鳴らしたであろうインターフォンに、胸が一気に高鳴った。 「はいはーい♪」 「迎えに来た、時間大丈夫?」 「ギリギリってトコ。だけど合鍵持ってるクセして、どうして自分で開けないかな」  上目遣いで見てやると、ちょっとだけ視線を外してそっぽを向く。照れたような表情を浮かべながら頬を染め上げている姿に、思わず含み笑いをしてしまった。 「出迎える稜の顔が見たかったし。あれ? 珍しく髪の毛、束ねているんだ?」    そのクセ言ってることは俺が喜ぶようなことを、嬉しそうな顔で言ってくれる。小さな変化を見逃さずに必ず指摘するから、嬉しさが倍増しちゃうんだよな。 「結構伸びてきて、何かするのに邪魔だからさ。もう少ししたら切ろうかなって、わっ!?」  向かい合ってたのに、わざわざ俺の躰をくるりと反転させて、ぎゅっと抱きしめてきた。伝わってくる温かさに、思わず身をゆだねる。 「うなじにキスしていい? 痕をつけたい」 「……それを耳元で言うのって、何なのさ」  あり難いスキンシップなれど、求められることの難しさに、ちょっとだけ文句を言ってしまう。モデルなんて仕事していなきゃ、どこにでもキスマークが付けられるのにな。 「だってキスマークを残したら、滅茶苦茶怒るじゃないか。一応、了承をとってみた」 「しょうがないだろ、仕事で脱ぐことあるし。首の真ん中あたりの、髪の生え際近くなら大丈夫かな」 「そうか、じゃあ――」  しょうがないなぁといった感じで告げたのに、ちょっとだけ笑った感じが吐息で伝わってきた。そして、チクリと痛みのあるキスをその部分に落とされる。 「んっ、くすぐったい。ゾクゾクしちゃうんだけど……って、何で大事なトコ、さりげなく触ってるのさ?」  相変わらず、容赦のないスキンシップをする。スエットのズボンに手を突っ込んで、いきなり弄るなんて。 「一週間触れてないから、挨拶しておこうと思っただけ」 「あ、挨拶って……、はぅん、っん、ここまだ玄関っ……はぁ、あぁぁ……」 「声、ちゃんと抑えないと、外に漏れてしまうかもね」  本当に困った人――場所をわきまえてほしいのに、どこでだってはじめてしまうんだから。 「いっ移動ぅ、させてってば……んっ!」 「してみれば?」  そう言いながら喉で低く笑うと、ちゅっと耳の付け根に唇を押し当ててきた。 「くっ、ぅあっ……ふぁ、……っあっや、ぁあ!」  克巳さんの手や唇ひとつで、こんなに感じてしまうなんて、朝から何をやってんだ俺。 「足を動かさないで、腰だけそんなに動かして。それじゃあ、移動できないんじゃないか?」 (――だってしょうがないじゃん、すっごく気持ちいいんだから)  眉間にシワを寄せて、恨めしそうにわざと睨んでやった。 「じ、時間ギリギリだって、はぁ……。言ってんの、にっ……克巳さ、酷いぃっ!」 「大丈夫、稜は早いから」  うっわー、それを堂々と言っちゃう!? 「くっ、ムカつ、くぅ、はぁん……ぅあ……」 「――珍しく頑張ってるね、もしや浮気でもした?」  克巳さんの口から言ってほしくないワードが出たせいで、ため息が自然と漏れてしまう。  愛情を疑われるのは仕事柄しょうがないけど、オンリーなんだってこと、分からせてあげないといけないよなぁ。  「するわけ、ないだろっ……。そんなんじゃ、なく、って、ぁつ……ンンっ」 「ああ、そうか。だから髪の毛を束ねていたのか」 「なっ!? ちょっ……、はぁはぁ」  言い淀んだ俺の言葉に、何かを察知したんだろう。これだから隠し事ができないんだ。 「何でって分かるさ。稜のことが好きなんだから」  自然と出てくる好きという言葉に、胸がじーんと熱くなる。俺ってば幸せものだ。 「んんっ、ぅっ! 克巳さん……ぁ、俺も、好きだ……うっ!」  克巳さんの大きな手で、容赦なく責め立てられる下半身の攻撃を受けながら、自分の気持ちをやっとのことで告げる。 「何を考えて、ひとりでしてた?」 「っ……教え、ない……」  ハズカしすぎて、言えるワケがないだろ。聞くだけヤボってことだ。 「へえぇ、そうか。じゃあ――はむっ」  俺の弱点である耳を口にふくんだ。 「っん……う、あ、そこ……っ、ダメ、だって!」  舌を器用に使って丁寧に耳の輪郭をなぞり、吐息をかけたと思ったら、くちゅくちゅ音を鳴らしながら、耳朶をやわやわと食む。  それだけじゃなくスエットからシャツを引き出し、裾から入り込んだ手を使って、感じやすい左側の胸の頂を弾くように弄るせいで、イきたい気持ちが加速していった。 「教えてくれるまで、責め続けるけど?」  耳に響く克巳さんの艶っぽい声が、更に欲情を煽る。この人の言うことなら、無条件に何だって聞いてしまうよ。 「酷っ、さいてー……。ああっ、もぅ、言うからっ……やめてよ」 「ふふふ、いいコだね稜」  頬に優しく唇を押しつけ、嬉しそうな顔でわざわざ俺の顔を覗き込む。どんだけドSなんだか―― 「ぅくっ……。今みたくされてるのを想像しながら、克巳さんの名前を呼んでイったんだ、さっき……」 「こんな感じで?」  照れながら告げた言葉を最後まで聞き、耳元にフッと笑った感じが伝わったと思ったら、手早くスエットのズボンと下着を下して、堂々と下半身を露出させると、握っている手のストロークをこれでもかと上げた。  こんな恥ずかしい責められ方されたら、もう……。イカない方がオカシイ。  さっき自分でイったばかりだというのに、克巳さんにされた卑猥な数々のせいで、ぐちゅぐちゅという卑猥な音を出してる俺自身。それ聞いてるだけで、淫靡な気持ちに拍車がかかる。  自らも激しく、腰を振ってしまった。 「んっ、ひゃ……っあっ、イ、っくっ! やぁ、あっぁ!!」 「おっと! ナイスキャッチ」  勢いよく飛び出してしまった欲を、空いてる手で上手いことキャッチし、俺の顔を覗き込み、何故か爽やかにニッコリと微笑む克巳さん。 「はぁはぁ……。なぁにが、ナイスキャッチだよ、まったく――」 「稜の方こそよく玄関からリビングまで、ちゃんと移動できたね」 「……ったく、毎回玄関で襲われてたら逃げる(すべ)くらい、身につけるっちゅーの」  快感に身をゆだねると、どうしても大きな声が出てしまうので、何とかして移動しなければと、激しく腰を振りつつ、少しずつではあったけど、じりじり移動していた。  互いにそれぞれの処理を済ませながら、いつものようなやり取りが展開されていく。 「しょうがないじゃないか。君の目を見てたら、何だか煽られた気分になるし」 「煽ってない、ない。いい加減にしてって感じ」  もう、克巳さんには口では勝てる気がしないな――。  束ねていた髪を外し、かき上げながら上目遣いで睨んでみせると、涼しげな一重瞼を細めて、俺が大好きな笑顔をくれる。  この人の柔らかい笑顔、すっごく好き。心が和んでいく感じがする。 「ふっ、何だかんだ言って好きなクセに」  そうだよ、しょうがないじゃないか。胸が痛くなるくらい好きなんだから! 「克巳さんのばぁか! タクシー探しながら全力疾走だからね」 「電話で呼べばいいじゃないか」 「呼んで待ってる時間が勿体ない。向かいながら探したほうが、絶対に早いよ」  体力落とさないようにするのも、モデルの体型を維持するためなんだ。悪いけど、ここは走らせてもらうからね。 「え~っ、走らなきゃダメなのか」 「誰のせいだよ」  遅くなったのは、玄関でいきなり俺を襲った、克巳さんが悪い! 「すべては、稜が早くイかなかったのが原因だ。ひとりで弄るとか、俺としては信じられない行為だ」 「しょうがないだろ、誰かさんと違って若いんだからさ」  以前に比べたらこれでも回数の微調整を、密かにしてるのに。我慢できないのは逢えなかった分だけ、想いが募ってどうにもならなかったから。  出かける準備をしながら、ちょっとだけ怒ってる克巳さんの顔色を、ちらっと窺ってみた。 「ほら、指摘した傍からそうやって流し目をする! それが煽ってるって言ってるんだ」  文句を言ってる背中をぐいぐい押しながら、玄関の外に出してやった。 「そんなつもりないのにさ。ちょっとどいてよ、鍵が掛けられないじゃん」 「はいはい、どうぞ」 「これでよしっと。急がないとね」 「ああ、ほら……」  唐突に目の前に差し出された大きな左手に、首を傾げるしかない。 「えっ!? 手?」 「走りながらタクシー探すんだろ? 転んだら困るから」 「何か、ハズカシイ」  俺に別れを告げた克巳さんが、改めて付き合おうと言ったあの日。  肌を重ねるだけじゃなく、大事な恋人として俺を扱ってあげると言ってくれた。それは俺が今まで経験したことのないものばかりで、どうにもくすぐったさを感じてしまうものばかりだった。  今みたく手を繋ぐという行為だけでも、無駄にドキドキさせられる。 「ヤることヤってるのに、こんなことで恥ずかしがるなんて、変なコだな」 「だっていい大人の男同士が、手を繋いでるのって変じゃない?」  こっちを見てる視線が何だか痛くてそっぽを向くと、耳に聞こえる呆れた声。 「散々テレビでいろいろやってる君が、そんなことを言う方が余程変だと思うよ」 「わっ!!」  躊躇してる俺の右手をぎゅっと掴んだら、引っ張るように階段を駆け下りた。 「急がないと、対談相手の小説家の先生を待たせたら、煩そうな担当の人の機嫌を、かなり損ねることになる」 「分かったよ、もぅ。克巳さんっ」 「ん――?」 「ありがと、ね」  Hのときの強引さもいいけど、こうやって躊躇したときや、困って立ち止まる俺に迷うことなく手を差し伸べながら、きちんと導いてくれるアナタがすっごく好きだ。  繋がっている部分から伝わる熱を、愛しく思いながら口元を緩ませると、振り向いた克巳さんが嬉しそうに微笑む。  ――この人となら、ずっと一緒にいられる。  その気持ちを込めて、握っている手にぎゅっと力をこめた。

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