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プロローグ

数千年前――。  世界は、天界、人界、魔界の三つに分かれていた。  神々が暮らす天界では、龍や虎、鳥、獣――さまざまな霊獣たちが神々に仕えていた。  けれど、その扱いは決して恵まれたものではなかった。  人界や魔界で争いが起きれば、霊獣たちは戦場へ投げ出される。  どれほど傷ついても、どれほど疲れ果てても、休むことは許されない。  命を落としたとしても、代わりはいくらでもいる。  天界にとって霊獣とは、死ぬまで尽くして当然の存在だった。  ――そんな世界に、五柱の霊獣が立ち上がった。  東を守る青龍。  西を守る白虎。  南を守る朱雀。  北を守る玄武。  そして、中央を司る麒麟。  彼らに手を差し伸べたのは、天界にいながら「万民を救いたい」と願った一人の仙人――玄霄天尊だった。  激しい戦いの末、五柱の霊獣と玄霄天尊は天界から独立する。  そして、新たな世界――霊獣界を創生した。  五柱の霊獣には、それぞれ四神と麒麟の名、そして加護が授けられた。  やがて彼らは東西南北と中央を治める五つの名家の祖となり、霊獣界は幾千年もの平和を謳歌することになる。  誰もが、そう思っていた。  この世界が、いつまでも続くのだと。  ――その均衡を崩したのは、一匹のハクビシンだった。

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