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神は、どうして天使の愛を赦さない。
心をもって生み出されるのに、神のみを絶対としなければ、天使としては認められない。
俺はそんな傲慢な神が、本当に大嫌いだったんだ。
身体の内側から注ぎ込まれるように、シエルの強い聖気に触れたせいなのか。
俺の中に微かに残っていた、白い光。誰の手も届かないほど奥深くに眠っていたその光が、シエルの聖気に呼応するように、その形を現していく。
シエルは俺にやさしく触れて、熱いキスをして、溶けるほど見つめて、強く抱きしめて……ただ身体を重ねるだけではなく、何度も俺に愛情を伝えてきた。
そして俺はその度に、激しい痛みを伴ったとしても、その愛が欲しいと感じていたはずだ。
その愛が本物だったらと、望んでいたはずだ。
「ルカく、ん……っ、あと、少し……だから……」
そう言いながら、俺の和らいでいく痛みとは反対に、どんどん苦しそうに歪んでいくシエルの表情。
「シエル……もう、もうやめろ……っ」
こんなに苦しむことになるのなら、今すぐやめてしまえばいい。
これは最初から、人間ごっこなんかでは無かったんだ。
俺の知りたかった愛は、求めていた愛は、こんなにも苦しいものだったのか?
ただ、人間たちのように、愛する人の温もりに触れて、幸福を感じて……
そうして、ずっと君のそばにいたかっただけなのに。
「ルカくん……オレは……自分のせいで、ルカくんを変えちゃったことが……今も悔しくて、たまらないんだ……」
違う。シエルのせいなんかじゃない。
俺が勝手に、君を愛してしまっていたんだ。
「どんなに黒く染まっても……オレはルカくんのことが、大好きだけど……でも、でもね……こうなっちゃうくらいなら、愛してくれなくたって良かった……一緒にいてくれるだけで、良かったのに。ルカくんには、真っ白な翼とやさしい蒼の瞳が、よく似合っていたから……」
いらない。そんな言葉は。もう、やめてくれ。
「オレは、ルカくんへのこの気持ちがなんなのか……考えないように、気付かないようにしてた。ずっと一緒に、いる為に……。けど、本当は……ルカくんのことを、この世界の誰よりも……神さまよりも、愛していたんだ」
消え入りそうな声で、絞り出すように紡がれた『愛の言葉』。
涙で濡れても、強い意思を宿したままのシエルの蒼い瞳が、まっすぐに俺を射抜く。
「だからオレは、ルカくんの隣にいられないのなら。神さまなんて、捨ててやる」
その、天使による神への叛逆の言葉で。
大好きだったはずの真っ白な美しい翼は、少しずつ醜く、けれど気高い黒に染まっていく。
そんなシエルを見て、心臓の奥深くが強く痛みだす。
だけど、俺は……君がそうなることを、本当はずっとずっと望んでいた。そんな気がするんだ。
君に愛されている。ただ、その実感のためだけに。
俺たちが混ざり合ったその場所には……シエルから抜け落ちた真っ白な羽根だけが、眩い光を放って輝いていた。
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