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第2話
私は身の危険を感感じながらも自由にならない身体では動けず、怪しく光るレンズ越しの視線に身を震わす。
「辛いですよね」
水瀬はそう口にしながら私の元へとカツカツ近づくと、私を上から見下ろしクスっと笑った。こ、こいつ一体何を……。
「介抱しないと苦しいでしょ」
「……私に……何を……した……はぁ……」
自分の身体が言う事を利いてくれない。それどころか自分の下半身がとんでもない事に……なんだこれは……。
「分からないですか? 身体は正直だと言うのに」
そっと水瀬の手が私の頬に触れる。たったそれだけの行為が私の身体を反応させる。
「はぁ……はぁ……やめ……ろ……触……るな」
必死に手を振り払うが敏感になった身体は熱を帯びるだけで一向に治まろうとしない。
「我慢は身体に毒ですよ」
駄目だ意識が保てない。私はソファの上で身体を投げ出すように凭れ掛かると意識が遠のく。頭が真っ白になって何も考えられなくなった瞬間だった。柔らかな感触が自分の唇に感じたのは。
「んんっ……ん」
キスをされている? そう思っても身体の自由が利かずされるがまま、あっという間に口内に侵入を許した。
「んっん……はぁん……」
自分でも信じられないくらいの鼻に掛かった甘い声。絡みつく舌は生き物のように這い回り自分の舌をいいように吸い付く。
「はぁ……こうでもしないと貴方は一生手に入らないでしょ?」
離された唇。何かを言っているのは口の動きを見れば分かるが、意識がはっきりしていない今は何を言っているのか分からない。
「な……にを……言って……」
「俺はずっと貴方が欲しかった」
水瀬の表情が苦しそうに見えるのは幻覚じゃない。でもどう言う意味なのか直ぐに飲み込めない自分がいる。
「ずっとこうしたかったんですよ……例えどんな手を使っても」
水瀬はそう言うと眼鏡を外し私の唇を強引に奪っていく。反射的に抗うも腕に力は入らず結果、激しく口内を貪られた。
「んん……っん……はぁん……」
あまりの激しさに合わさった唇からどちらともつかない唾液が流れ落ちる。息も吐けぬ程の絡みに私の目の前は真っ白になっていった。
「好きです社長……いや隼人さん」
ようやく離された後の告白。私はどう受け止めればいい? いくら私が本来男好きだと言っても水瀬をそんな風に見た事がない。どう返事をすればいい?
「み……なせ」
水瀬は私を抱きしめるとそのまま首筋へと下りていく。年下のましてや有能な秘書にこんな事をされて……私はどうすれば……。
「あっ……」
最初は触れるだけ。それが徐々に首筋を辿ると一点でキツク吸い付かれる。そのままシャツのボタンを外され首筋から胸元へキスの雨が降り注ぐ。私の身体は意志とは関係ないところで求めるかのように熱を帯び、敏感に反応した。
「はぁ……あっ……つ」
「気持ちいいですか? もっと欲しいでしょ」
いつもは眼鏡越しの水瀬の眼差しは熱く、強い意志を感じる。整った顔立ち。こんな顔をしていたのかと一瞬思いを過らせるがそんな余裕は直ぐに消えた。
「み……せ」
名前すらまともに呼べないほど呂律は回らず、ただ息を荒げるだけ。下半身は直ぐにでも爆発してしまいそうなほど勃ち上がりズボンを押し上げている。何かを飲まされた。そう思ってももう遅い。
胸元へ舌が這う中、ズボン越しに触れられ私は堪らず声を上げた。
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