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幸せは、二人で一緒に
「あのさ、シノ」
「なぁに、真翔?」
ニコニコとケーキの乗ったフォークを真翔の口元に差し出す優吾。いつになく笑っていることに真翔は呆れて言葉が出なかった。
「そろそろシノも食べたら?」
「じゃあこれで最後、ね?」
そう言ってもう何度目だろうか。だが、機嫌のいい優吾に悲しい思いをさせたくない気持ちが上回り、真翔はぱくりとケーキを口にした。
ホワイトデー商戦真っ只中、真翔は優吾と再び付き合うことになってすぐ、彼の誕生日が近いことを思い出した。そこで、誕生日プレゼントに何が欲しいかと問うと、思いがけない返事が来た。
『真翔と二人でホールケーキが食べたい。それで一緒にお祝いしよう!』
お互い早生まれで日にちが近かったけれど、真翔の誕生日は過ぎてしまっていた。そんなことは関係ない、と、優吾はデパートの地下でいちごがふんだんに乗ったホールケーキを買った。
二人分にしては圧倒的に多い。だが、優吾は丸ごと口にしてみたいと伝えた。真翔に食べさせることに夢中になっており、本人はまだ一口も食べていなかったが。
「……そろそろ、シノも食べろよ。ほんと美味いぞ」
真翔はフォークを手にして、ホールケーキから一口ケーキを掬った。そしてやや強引に優吾の口へ放り込む。若干不服そうな表情で咀嚼していくうちに、優吾は笑顔になっていく。
「んー美味しい!」
「ほら、もっと食わねえと俺が食っちまうぞ」
「真翔が幸せそうだからそれでもいいけど」
そう言って再びケーキを掬って真翔に差し出した。
「美味しいって聞いてたから食べてみたかったんだけど、さすがに一人じゃ食べ切れなくて……」
「んっ……俺だってさすがに無理だ。シノももうちょい食ってくれよ」
「じゃあ真翔が食べさせて」
「はいはい」
真翔は再びケーキを掬って優吾に差し出した。
昔から優吾に甘えていたばかりだったせいか、不思議な感覚に包まれた。それでも、真翔は笑顔が止まらなかった。
ようやく食べ終わると、もうこれ以上何も食べたくないと思いながら真翔はソファにもたれかかった。
「もう今日は何も食いたくねー……」
「ありがと、真翔」
優吾は隣に並ぶと、頬にキスを落とした。
「っていうか、糖分摂取しすぎて太りそう」
「俺は別にいいけど?」
「俺がやなの!」
「じゃあ、運動でもする?」
ニコリと微笑む優吾。表情からも言葉の意味ははっきりと理解している。真翔も笑いながら口を開く。
「ちょっと休んだら、かな」
「分かった。真翔、誕生日おめでとう」
「シノも、ちょっと早いけどおめでとう」
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