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好きだということ

 身体中に赤い跡が散って鼓動が速く脈打つ中、真翔は優吾に身体を寄せて肌を重ねていた。彼がいることをはっきりと感じるために。  今は優吾の温もりが存在をいちばん感じられる。だが、緊張にも似た興奮が真翔の中で渦巻いていて、余計な感覚も広がっている。  五年のブランクがあったけれど、それに劣らずもう何度も優吾と交えてきたので慣れている。じっとしていればそのうち熱は落ち着く。ようやく呼吸も平常に戻ってきたので大丈夫だろうと思っていたけれど、いつまで経ってもその気配は見えない。  真翔は優吾に顔を見られないように俯きがちになった。 「真翔、どうしたの?」  すぐに優吾は言葉をかけてきた。ほんのわずかな変化に気づく姿が、優しさで満たされているようだ。今の真翔にはそれすらも刺激となってしまい、再び落ち着きが完全になくなってしまった。 「好きすぎて……怖い」 「……え?」  突然何を言っているのだろうか、優吾はそう言っているような気がした。 「だ、だって……頭の中にシノのことばっかりで……」 「好きっていうの、嫌なの? 詳しく、聞かせて」  穏やかな声で優吾は語りかけ、真翔の顎を掴んで目と目が合うようにそっと動かした。ふわりと微笑んでいるけれど、言わない限り離してくれないだろう。優吾は柔らかい雰囲気に反して、がっしりと逃さない姿勢を見せる。  えっと、と何度か口をぱくぱくさせたところで、真翔はようやく声を発する。 「別のこと考えてても、油断するとシノのことしか考えらんねー……。俺、シノ以外と付き合ったことないし、こんなに没頭してんのも初めてだし……。自分が変になった気がする。おまけにそわそわするし」 「それが好きになるってことじゃないかな? それに、いいことだから不安になる必要もないだろうし」 「えっ……?」 「俺だってさ、真翔のこと考えてるだけで幸せな気分になるし、こうして隣にいてくれるともっと幸せになれる。仕事中も、真翔にいいところを見せようって頑張ってるもん」  優吾の言っていた行動をひとつひとつ考えていくと、どれも真翔と同じことだった。優吾も同じ考えを持っている、そう実感すると胸がじんわりと温かくなってきた。  真翔は限界を突破してくっつくように身体を寄せて微笑んだ。 「そうだな。俺もシノと同じだ」 「で……好きは嫌だ?」 「そんなことねーよ!」  真翔は顔を近づけて優吾と唇を重ねた。身も心も好きで包まれる、こんなにも幸せに包まれるとは思わなかった。

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