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第2話 アニメプラスがニースに進出?
とんでもないことになった。
全部、桐生さんのせいだ。
颯太さんがモナコでピアノの弾き語りをすることになったと聞いた彼は、なぜか即日、父である社長に「事務所の命運を懸ける!」と宣言してしまい――!?
準備はたった1日。
翌日にはスタッフを連れてローマへの直行便に乗っていた。
これは桐生さんらしい行動だ。
俺は浅田工業の唯一の後継者で、理事の浅田夏輝だ。
一時は医師でもあったが、歌手の才能を見出されて以来、紆余曲折の末、浅田工業グループのエンターテイメント部門の理事もしている。
エンターテイメント部門の一番の中核は「アニメプラス」という音楽事務所で、俺もここの理事だ。
歌手活動を再開したいけど、仕事が忙しいので後回しになっている状態だ。
この音楽事務所の社長は、信じられないほどの商才を持った切れ者、桐生悠だ。
浅田工業の社長である父の信頼も厚く、彼の希望はなんでも承認される。
いや、ノーという隙を与えないくらい、緻密で完璧だと確信したこと以外は絶対に言わないからだ。
それもなんだか悔しい……。
桐生さんは、必ずや社長が承諾した何倍もの利益や発展を返してくる。
父から見れば、次は彼が何を言ってくるのか……?
それだけでワクワクしているに違いない。……多分ね。
最近、浅田工業は中東での数兆円規模のインフラを独占で受注した。
だから面白いほどに潤っている。
大船に乗るにはいいチャンスであることには間違いない。
俺はそんなモヤモヤを抱えて、とりあえずローマへの直行便に乗った。
目的地のモナコに行くには、ローマからニース行きの飛行機に乗り換えて1時間15分。
ニースのコート・ダジュール空港へ到着した。
モナコはここから車で30分もあれば到着する。
今後は東京からの往復はこのコースになる。
ニースに拠点を置くことにしたのは、颯太さんがコート・ダジュールに住みたいと言ったからだ。
コート・ダジュールとは、南仏のマルセイユからモナコ周辺までの地中海沿いのリゾート地域を指す。
日本ではあれほどコンサートを拒否していた颯太さんだが、この美しい海辺の町なら平気になるらしい。
なんでだよ?? 納得いかない。
東京では事務所を辞めるとまで言って、コンサートを嫌がってたのにさ。
結局、モナコのショーに行くことになったのは、ステラビートのゲンさんとショータ。
他には桐生さんと俺。
照明2名、音響1名。
ロニーさん、そしてフランス語と英語が得意な秘書の三谷さん。
全員が降って湧いたようなニース行きに大興奮だ。
ロニーさんは日系二世でバークリー音大出身。
歌もダンスも演技もピアノもOK、
そのうえアメリカ人なのにフランス語までペラペラという頼もしさ。
今回の滞在先は、モナコの5つ星ホテル「オテル・ド・パリ」だ。
颯太さんと立花先生、達也と夫の松永さんはセレブだからここのスイートに85万払って宿泊するけれど、安い部屋でも1泊20万近いので、スタッフは近辺のホテルへ。
でも俺と桐生さんだけは、調査のためにこのホテルに泊まることにした。
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