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第3話 ニース支社決定!衝撃の宣言
今回は事務所にとっては一発勝負の採算度外視。
すべて桐生さんの直感によって動いている。
桐生さんは前日、ホテルの支配人に直接交渉していた。
「日本からダンサーやスタッフを連れて行くので、夜間に90分のショーを1回だけやらせてくれ」と。
たまたまパリに達也が滞在していたのが良いタイミングだった。
達也の旦那さんは大手車会社の副社長だから海外出張が多く、彼もよくついて行っているのだ。
そもそもパリにいたのが奇跡だった。
さらに、プロジェクションマッピングもカンヌの業者に依頼した。
マッピングには2名のスタッフ付きが決まりだそうなので、一緒に参加してもらった。
マッピング用の機材は重さが70キロ以上あるから、日本からは到底運べない。
桐生さんの判断はさすがだった。
そして、ホテルのバーで行われた演奏会は大盛り上がりで大成功だった。
満員御礼となり、入り口やテラスまで人が溢れ返った。
気を良くした支配人は、残りの2日間を豪華な大宴会場へと場所を変え、有料チケット制のショーイベントにした。
こんな商売に長けた支配人は、いっそううちの事務所に欲しいくらいだ。
桐生さんも同じことを言っていた。
その結果、今後3年間はこのホテルで年3回のコンサートを行う契約を勝ち取った。
それだけじゃない。
桐生さんが事前に招いておいたフランスの富裕層向けプライベート・エージェンシー3社も魅了し、見事に契約を取ってきたのだ。
……正直、俺はそこまで考えつかないよ。
パリからエージェンシーを3社も呼ぶなんてね。
信じられない。
実際に来ると思ったのだろうか?
しかし、桐生さんは絶対欲しがるって確信していたしね。
この辺がめっちゃ悔しい~。
あとで父が手放しで褒めて喜んでいたのも、なんだか腹が立つ。
しかし奇跡が1つあった。
契約したアーティストは、颯太さん、達也、そして俺だ。
なんでスーツ姿の営業マン風の俺が舞台へ?と、観客は思ったらしい。
颯太さんがたまたまサプライズで俺とデュエット曲を歌って、ステージに上げてくれた。
たった1曲だけだったのに、契約は3人でという向こうの指定だった。
えへへへ、封印していた芸能活動がまたできるぞ!
確かに3社、分不相応にも富裕層向けのエージェンシーと契約は結べた。
しかしスタッフも多くて、日本との飛行機代が高いのですごく嫌がられた。
「そこまでは出せない」と言い張る先方に、結局は桐生さんが強引に押し切った形だ。
ただし、その代わりこちらも折れた。
「アニメプラスはなるべく早く、ニースに支社を作る。そしたら飛行機代は要らない!」
彼はエージェンシーにそう宣言したのだ。
……へ?
思わず口があんぐり開いた。
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