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第4話:並んで歩いているのは、もう二人

帰り道は、いつも三人だった。 狭い路地に入ると、向こうから来た自転車を避けて、大輝が一歩下がった。 俺も端に寄る。 自転車が通り過ぎると、悠人が隣に戻ってきた。 「今日、寒くない?」 最初の頃なら、大輝の方を見ていた。 何か言ってくれるのを待って、それにうなずいていた。 「うん。朝より寒い」 今日は、そのまま答えられた。 「だよな。上着持ってくればよかった」 悠人が両手をポケットに入れる。 その肩が俺の肩に当たって、少し離れた。 俺は道の端に寄らず、そのまま歩いた。 後ろで、大輝の靴音がしていた。 「大輝、明日も小テストだっけ?」 悠人が振り返る。 「そう。英語」 「またかよ」 俺も振り返った。 大輝は鞄を片方の肩に掛けて、すぐ後ろを歩いていた。 「今日の最後のやつ、湊に教えてもらえば?」 大輝が言う。 「分かったの?」 「……たぶん」 「じゃあ明日、教えて」 悠人がこっちを見る。 俺はうなずいた。 歩きながら、最後の問題の話をした。 途中で言葉に詰まっても、悠人は待っていた。 「それで?」 「そこ、過去形じゃなくて……」 後ろの靴音を、しばらく聞いていなかった。 向こうから二人連れが来る。 俺と悠人が道の端に寄ると、大輝はまた後ろに下がった。 すれ違ったあと、悠人が振り返った。 「大輝、早く来いよ」 「来てるって」 大輝は笑って、鞄を掛け直した。 俺は横にずれようとした。 けれど、その先には電柱があった。 そこを過ぎたら。 道が広くなったら。 そう思っているうちに、悠人がまた話し始めた。 「明日、何時に来る?」 答えながら、隣を見た。 悠人も俺を見ていた。 その顔を、もう少し見ていたいと思った。 後ろから靴音が続く。 俺は振り返らずに、歩いた。 三人で帰っている。 それは変わっていない。 でも、並んで歩いているのは、もう二人だった。 夕焼けの色が、やけにきれいだった。

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