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第1話 愛玩宦官
いつかの時代のどこかの国で。
元々は宦官が必要となったのは後宮の安泰のためだった。
後宮にいる男が帝の手のつく可能性のある後宮の女に手を出させないようにする必要があった。
特に側室や妃といった次代の王を産む可能性がある女が、男と通じることを禁じるため。
帝の血だけを確実に継いでいくことために必要なことが、宦官の作成だった。
そう。
新しい人体の作成。
男の性器を切り落とす。
後宮の女と決して交われない身体にする。
それは後宮という子供製造工場には必要な処置だった。
男手は必要。だが、子供の父親となれる男はこの後宮には一人だけでならない。
それは帝だけ。
そこにいる必要がある他の男達は父親になれないようにすればいい。
こうして宦官が生まれた。
そうて出世のチャンスと高給につられた主に貧しい家の息子達は自ら、もしくは親に売られて、宦官となり後宮に仕えるようになった。
やがて、違う需要ができた。
宦官育成のため、幼い頃から去勢された宦官達がまず存在した。
それは子供の頃から育成した方が単に使い易い、という理由だった。
幼い頃から育成すれば余計なことを考えない、早くから去勢した方が失う衝撃が少ない等の利点があった。
ある程度成長してからの方が去勢という大手術に耐えられるので、二次性徴まで育ててから去勢した。
すると、彼らは成長はしても、男性性を失い、中性的で華奢であり、高い声すら持つものもいた。
たまたま美しい少年が宦官になった場合、その美しさをそのまま保ち、女性とも男性とも違う妖しさを持つモノとなることが稀にあった。
大方の宦官は男性らしくない(髭が無い、声が高い、華奢)なだけの、やはり男性でしかなかったのだけど。
ごく稀に生まれる中性的な美しい宦官。
官服に身を包んだ美しい妖。
それは人の欲望を刺激した。
後宮は確かに子供育成工場だった。
だが、欲望は確かにもちろんある。
子供を生ませる以外の、そして何より子供が生まれないからこその欲望が。
敢えて美しい少年を愛玩用に創り出すことが考え出された。
愛玩宦官の誕生だった。
最初は帝達の手慰みとしての遊び道具だった。
美しい少年宦官をその時々の帝が使い始めた。
そのうち、貴族階級にそのおもちゃは広がる。
子供が生まれないからこそ、存分に遊べる、改造された身体のおもちゃ。
支配するための道具。
そして有力な貴族の一部の女達も密かに使い始める。
子供は生まれない、最後まではしないから貞節検査も問題ない。
綺麗で男臭くない性的な人形として。
宦官が育成されはじめた。
宦官というのはあくまでも後宮に仕える官僚で、貴族達が使う愛玩宦官は単に愛玩用に去勢された男なのだが、
帝が使う【愛玩宦官】という名前が貴族達の私物である遊び道具にも使われるようになっていた。
宦官をつくる技術を持つ業者はほぼ独占状態で、帝の愛玩宦官も貴族のおもちゃも同じ場所で作られていたから、差は気にされなくなった。
だから彼らは後宮にいないものも【愛玩宦官】と呼ばれた。
密かに。
王族貴族富裕層は愛玩するようになった。
愛玩宦官というものを。
官服、もしくは官服風の衣装を着せた、ストイックな衣服に包まれた、淫らな存在を。
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