6 / 10
第6話
「ほお……これは、妙な客人だな」
その人は僕の方へ近づいてくると、手にしていた扇子で僕の顎を持ち上げた。
「……お主、名は何と申す?」
「み、宮前真雪です……」
ジャスミンのようないい香りと、それとは相反するような鋭い眼差しに、僕は声が上ずってしまった。
あまりに美しいお顔で見つめられて、僕はどうしていいか分からず、視線を泳がせる。
「……真雪、か」
なぜか、大磯守様は僕の名を確かめるように、ゆっくりと繰り返された。
その目が、ほんの一瞬だけ寂しげに揺れた気がした。
けれど、次の瞬間には、穏やかな笑みを浮かべておられた。
「……ふむ、南蛮人ではない様だな」
大磯守様は扇子を僕の顎から離すと、今度は僕の掛けていた黒縁メガネに触れる。
「……これは何処で手に入れた?」
「えっ、メガネ屋さん、ですけど」
何を言ってるんだ、この人は。
っていうか今気づいたけど、これ、もしかして撮影じゃないのかもしれない。
周りにカメラとかライトとかないし。
じゃあ、ここって一体何処!?
ともだちにシェアしよう!

