5 / 10
第5話
山を降りても、そこは見たことのない景色だった。
「ほら、とっとと歩け」
両腕を男たちに抱えられて歩いた道も、通った街並みも、時代劇で見たことのあるものにそっくりだった。
そうして連れてこられたのは大きなお城で、門や石垣まで立派に作ってあって、豪華なセットだなぁと思った。
「ここに座れ」
中に連れ込まれると、僕はお城の中の、真っ白い石が敷き詰められた場所に座らされた。
そこにまた違う男がやってきて、僕の両手と身体を紐で縛る。
「今から大磯守様がいらっしゃる。頭を下げよ」
「は……はあ……」
偉い人が来るってこと??
僕は言われた通り、頭を下げた。
すると、少ししてから人の足音が聞こえてきて、止まった。
「面を上げよ」
言われた通り、ゆっくりと顔を上げた僕は、思わず息を呑んだ。
目の前にいた人が、今まで見たことがないほど美しい女の人……いや、男の人だったからだ。
端正な顔立ちに、整えられた髪。
身に纏っている着物も、周囲の男たちとはどこか違い、赤、ピンク等、鮮やかな色の着物を着ていた。
……綺麗な人だ。
それが、大磯守様に対する、僕の最初の印象だった。
ともだちにシェアしよう!

