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第8話

「これは、お主が描いたものか?」 「あ、はい、僕が描きました……」 「……なかなかの腕前だ。この花はお主がいた山によく咲いている花だが、何故これを描こうと思った?」 「えっ、それは、この花が貴重だからです」 「何っ、山のあちこちで咲いている花だろう」 「いや、でも、この花は生育している場所が限られているんです。ここではたくさん咲いているかもしれませんけど、どこにでもある花じゃないんですよ」 「ほう……そうなのか」 大磯守様は、もう一度スケッチに目を落とした。 「お主は、草花に詳しいのだな」 「あ、いえ……詳しいというか、大学院で植物の研究をしていて……」 「だいがくいん?」 えっ、これも通じない!? じゃあやっぱり……。 「父上、やはりこの者は怪しいです。このまま生かしておかぬ方が……」 その時、別の若い男が大磯守様の傍に進み出て言った。 父上って…この人の子供ってコト?? めちゃくちゃびっくりなんだけど!! 「……お主はもう少し、人を見る目を養わねばならんな、盛継」 僕よりも若そうな男に、大磯守様は言った。 「確かにこの者は我らが見聞きしたことのないものばかりを持っておる。だが、この者に邪念は一切感じない。それを見抜けぬとは浅はかなことよ」 「ですが父上……」 「わしはもう少しこの者と話がしたい。真雪と言ったな?そなたは今日よりこのわし、姬河寛之進の側に仕えよ」 「は……?」 「そうと決まれば真雪、わしについて参れ。誰か、真雪の荷をわしの部屋まで運んで参れ」 大磯守様はそう言って、僕の手をとった。

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