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第2話
「じいちゃん、どういうことだよ!?」
「そういうことだ」
祖父は用意された茶菓子を、怜央の分まで当たり前のように食べ始めた。
「···っ···この、じじい···っ、てか説明しろっての!なんで縁談なんて、急に···」
「ある組と度々抗争が起きてることは知っているだろう。中々カタがつかなくてな。向こうも焦れてきているし、このまま緊張状態が続けばいずれ堅気にも危害が及ぶ危険性がある」
「········じゃあ、その為の?」
「繁華街の地権を奪われれば互いに困る、それで出した折衷案が···」
「ふざっ、けんな!」
「まぁ、お前も25になる。いい年なんだ。ヤクザの孫というレッテルで貰ってくれる堅気なんていないだろう。丁度いい」
「それが可愛い孫に言う台詞かよ!クソじじい!」
「黙れ、バカ孫。嫁入り先が決まって良かったじゃないか」
このじじい、孫を売る気か···。
怜央は怒ればいいのか、悲しめばいいのか感情の行き場を失ってしまっていた。
組長としては敏腕で慕われているくせに、憎いほどマイペースな性格の祖父。
それでいて天の岩戸も顔負けの頑固じじいである。
到底受け入れ難い事案だが、観念するしかないと頭の隅で諦めかけていた。
「せめて俺より弱い野郎はナシだからな!」
「お前より強けりゃいいのか?」
「最低限な」
怜央は幼い頃から護身術を仕込まれ、祖父や組員たちに鍛えられてきた。
それなりの腕っぷしはあると自負していた。
「なら話は早い」
が、それを聞いて祖父は破顔した。
「え?」
「武闘派で知られる男だ。お前なんぞ一捻りだろうな」
したり顔で言い放つ祖父を見て、怜央の額に青筋が浮かぶ。
「和睦の為になんとか交渉して取り付けた件だ。失態は許さない」
「滅茶苦茶だろ」
「政略結婚させるのは偲びないが、組だけでなく街の平穏を維持する為だ」
しまいには平身低頭。
生まれて初めて祖父に頭を下げられ、何も言い返せなくなった。
組の為。守ってきた街の為。
その言葉がどれだけ重いか。
「···············で、相手はどんな奴?」
怜央のブスッとした声に祖父はゆっくり顔を上げて答える。
「大友 組の若頭、大友大我 だ」
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