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市川先生×夏樹(第6話*)

「じゃ、早速始めるか」  市川の手が腰に回され、ぐいっと引き寄せられる。角度を変えて何度か唇を啄まれ、次いで割れ目から舌を差し込まれた。 「んっ……う、んん……」  市川のキスはいつも巧みだ。強引に舌を持って行ったかと思えば、ちろちろと内頬を舐め、混ざり合った唾液を吸い上げつつ、熱い吐息を直接吹きかけてくる。  ぎこちなく市川に応えつつ、夏樹は自分の中心が熱くなっていくのを感じた。 「は……っ」  ようやく唇が離れ、肩で大きく息をする。爽やかな笑みを向けてくる市川が、やたらとかっこよく見えた。  どうもこの笑顔には弱い。照れくさくなって、夏樹は市川の肩に顔を埋めた。  市川が優しく頭を撫でてくる。  「可愛いなあ、夏樹は。キスだけでヘタっちゃうなんてさ」 「……別にヘタってないです」 「そうか。じゃあまだまだ余裕?」 「……知りません」  余裕だと答えれば容赦なく攻められるだろうし、余裕じゃないと答えればまた「体力ない」と馬鹿にされる。どちらにせよ、ロクな結果にならない。 「ま、いいや。これからが本番だもんな」 「……あ、わっ!」  背中と膝裏に腕を入れられ、ひょいと横に抱き上げられる。  そのままソファーに寝かされたところで、市川が箱から赤い紐を取り出した。 「何ですか、それは」 「何って……縄跳びの縄だよ。まさかやったことないのか?」 「……いや、そうじゃなくて」  いくら体育が嫌いだからって、縄跳びの縄くらい知っている。子供なら大抵一本は持っているものだし、夏樹だって小学校時代は持っていた。やったかやらないかは別として。 「……ってまさか、それで俺を縛るつもりじゃないでしょうね?」 「お! さすが夏樹、察しがいいね~。お前に合うように、わざわざ赤く染め直したんだよ。紐製だからチクチクしないし、肌にも優しいんだ」  ……どこに気を遣っているのかとツッコみたい。

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