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市川先生×夏樹(第28話)
けれど、そんな変態プレイをけしかけた犯人はあまり反省している様子もなく、
「まあいいじゃないか。生きていれば下の毛だってまた生えてくるんだから」
「そういう問題じゃないっ! あんな恥ずかしいこと、二度と御免ですからねっ!」
「そんなに嫌だった? 夏樹、かなり興奮してたじゃないか。シェービング直後に一回イってたし」
サラリとそんなことを言ってのけたので、ついに堪忍袋の緒が切れた。
「も……もう最低ッ! 先生なんか大嫌いだっ!」
夏樹は勢いよくソファーから立ち上がると、足音も荒くリビングを出て行こうとした。
「ちょっと待てよ、夏樹! そんな怒らないでくれって」
「知りませんっ! いくら誕生日だからって調子乗りすぎですっ!」
「わかった、わかった。もう生クリームプレイはやらないから。な?」
「口だけならなんとでも言えますよっ! いつも適当なこと言って変態プレイばっかり!」
「わかったって! 今度からもっと自重するから」
「嘘つけ! あんたみたいな変態教師が自重するわけ……」
夏樹の台詞はそこで途切れた。気付いたら、市川のそれに唇を塞がれていた。
「っ……」
たくましい腕にしっかり抱き締められ、耳元で囁かれる。
「……悪かったよ。ちょっと調子に乗りすぎた。許してくれ」
「…………」
「愛してるよ、夏樹……」
「う……」
怒っていた眉尻が力なく下がっていく。
(だから……そういうの反則なんだってば……)
どんな羞恥を味わわされても、結局自分は市川を憎めない。どんなに怒っていても、最終的には全部許してしまう。我ながら単純だと思うけど……。
「先生……」
照れ隠しに、彼の胸板に顔を埋めて呟く。
「……お誕生日、おめでとうございます」
「ああ、ありがとうな。最高の誕生日になったよ」
夏樹にとってはとんでもない日だったけど、一年に一回だけなら……こんな日も悪くないかもしれない。
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