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第5話
泉さんはどうして俺みたいなオメガと見合いをする気になったんだろう。
お互いに予めプロフィールは聞いていから年齢を知らないはずないだろうに。
一回りも上の男なんぞ、実際顔を合わせてがっかりさせてしまったかもしれない。
視線を逸らされているのも、きっと落胆の現れだ。
一般的な印象のオメガとは違う。
可憐でも華奢でもない平均的な体型の成人男性で、身綺麗にしていても若い頃の華やかさも瑞々しさもない平凡に歳を重ねてしまった俺では落胆もするだろう。
無表情だからよく分からないが、もしかしたら怒っているかも。
アルファと番になれるオメガは限られた家柄で、俺みたいな年増には尚更厳しい。
家柄云々を差し引いても、子供を望むなら若い方がいいから。
泉さんのご家族が子供やアルファのバース性に拘る人たちなら、この縁談は始まる前に終わっている。
俺は後天性のオメガで、繁殖機能が不完全な体の為妊娠できない。
その分、生理は無いしヒートも無く項を守るチョーカーを付ける必要も無い。
ほぼベータみたいなものだから気楽ではある。
ただ、オメガ体質に変異したことで雄として誰かを妊娠させることも難しくなった俺は、一体どんな生き物なのか。
元々恋愛に対しても希薄だったが、余計結婚や家庭への興味などからも遠退いていて、当たり前に一人で生きていくものと考えていた。
出会いなんて期待していないから、分かりきっていた結果に残念とすら思わない。
将来を考えた付き合いをする相手なら早いうちに話しておこうと思ったが、その必要はないな。
俺は勝手に日時も決められていて取り消せなかったし、なにより母親の剣幕に圧され引き受けざるを得なかった。
きっと泉さんも断れず引き受けたお見合いだったのだろう。
適当に切り上げ、御縁がなかったという決まり文句で終わり。
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