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第9話
本当に会えるなんて夢のようだ。
長く望んできた相手と、お見合いという形で傍にいられて言葉を交わせる。
今日会って確信した。
あの人はあの人のままだ、と。
彼が、小早川が、あの時、静が"シルシ"を付けた人。
庇護欲唆るか弱さと、あざとい可愛さアピールで媚を売ってくるオメガとは全然違う。
自信無さげだけど、誠実さや穏やかな性格が雰囲気に現れていた。
匂いにもそれは感じられる。
爽やかな中にもほんのりとした甘さが漂う、ホワイトムスクのような匂い。
目には見えないそれが染み渡るように伝わってくる。
変わらない"匂い"に胸は高鳴り、高揚していく。
まともに目を会わせると顔がだらしなくなりそうで、挙動もおかしくなりそうで必死に無表情に努めたが、そのせいで口数も少なくなった。
お開きにされるとなった瞬間にはかなり焦った。
連絡先と次の約束を死守しなくては、と。
最悪、彼の実家に連絡を入れてまた会えるようセッティングを頼む手もあるが、確実に直に接点を持ちたい。
そう、この見合いは小早川の家族の協力のもと成立したものだ。
是非、将来を見据えのお見合いを息子さんとしたい、と静から頼み込んだ。
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