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心配してるんだよ
授業のノートを取るのにシャーペンを持ち黒板を見ながら書き写すが痛みを感じない。
他の奴らなら痛くて無理だろうけどな俺は平気だ。
颯斗から離れると痛みを感じなくなる。
きっとそれは、俺が颯斗に頼ろうとしている時は気が抜けての事かもしれないが1人だと頼る人が周りにいないから自然に前の俺に戻るんだ。
「雅、手痛くない?」
「えっ?少しだけ痛いかな?」
ガバっと勢い良く凛が振り向いて俺のというか雅の手の怪我を気にしている。
詳しくは話してないが包帯を巻いてたら痛々しく見えるんだろうけれど凛に心配させると雅が悲しむから気を付けよう。
それと気づいたら授業も終わって休憩時間だった。
「色々聞きたいけれど手の怪我はどの位の怪我なの?」
「えっと・・・聞きたい?」
きっと聞いたら顔が歪むよ凛。
「うん。」
「でも本当に大した怪我じゃないよ。大袈裟に包帯を巻かれて薬塗られたんだ。」
「薬?」
「爪が剥がれた?」
俺が平然と言うと最初は凛も何を言われたか分からなかったみたいだが暫くすると俺の両手首を掴んだ。
「ちょっと!大した怪我じゃないじゃないよ!それでノート取ったりとか無理しないでよ。ノート取るの大変だろ?僕が後からコピーして渡すから無理しないで雅。」
今にも泣きそうな顔で必死に言う凛を見ると雅に良い友達が出来て嬉しくて少し顔がニヤけた。
「雅、本当に大丈夫?僕は心配してるんだよ。」
「ごめんね。凛君。僕は大丈夫だからノートコピーして貰えるかな?」
「うん、うん。他に何かない?」
「今は大丈夫。ありがとう。」
雅なら凛に甘えるに違いないと思う。
それにココで甘えておかないと凛に嫌われたら雅に悪いと思ったんだ。
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