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第14話
だから、こんな形だけれど、俺達は守自慢のお兄さんに会えてうれしいです。
でも、でも…
こいつが生きている時に会わせてやりたかった…」
また泣き出した社長さんを抱えて、みんな目を真っ赤にしたまま黙礼して社員さん達は帰っていった。
ちょっと待ってくれ。
守、お前 …
親父の会社が倒産して首括って逝っちまってから グレ始めて、散々母さんと俺に迷惑かけやがって。
『兄ちゃんなんか大嫌いだ!兄弟でもなんでもねぇし。
二度と そのツラ見ることもねーからなっ!』
って勝手に出ていったじゃねーか。
兄弟の縁切ったはずだろう。
親父が逝ったちょうど一カ月後、その後を追うように逝った母さんを見送ることなく行方くらましたままで
どのツラ下げて俺に『会いたい』なんて言ってるんだよ。
ふざけんな、バカヤロウ。
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