26 / 516
第26話
俺は、その小さな身体を そっと引き寄せ抱きしめた。
「なにがあっても、俺達がお前を守ってやるよ。」
その瞬間、凛を抱いたままの俺は、ふわっと暖かなものに包まれた。
この感触、この香り!
そう、五十嵐さんが俺ごと凛を抱きしめてきたのだった。
「そうだ。なにがあっても必ず守るから。」
俺だけに聞こえるような甘い声音で、耳元で囁かれ、身体中 総毛だった。
引越しの時の、キス寸前の場面が蘇る。
切れ長の目、鳶色の瞳、長い睫毛、甘い香り…一つ一つ思い出す毎に思わず身体の力が抜けていきそうになる…
「さとしー、くるしいよー」
「「あ、ごめん、ごめん…」」
とにかく、これからよろしくな、凛」
「凛、仲良くしてくれよな。」
ふーっ、落ち着け、落ち着け 俺っ!
ともだちにシェアしよう!