瞳は… 父が亡くなってから、母と言い争うことが多くなり、間も無く家を出てしまった。 しばらくは連絡が取れていたのに、母の再婚話が持ち上がり話が進むにつれ音信不通になった。 その再婚の条件は「子供との縁を切ること」だった。 理不尽だろ？今時そんなの信じられねーよ。 でも母は、その条件をのんで再婚しちまった。 俺はもうとっくに成人していたし、勝手にしてくれって感じでこっちから縁を切った。 …母を恨んだよ。親父のこと忘れたのかって。 後でわかったことだが、 『俺達に必要なことができた時に金とその他の援助をする』 というのが、先に母が出した条件だったんだ。 俺が店を出す時に、場所も金額も俺にとって最高の物件を手に入れることができたのも、裏で手を回していた再婚相手のお陰だったんだ。 利用してくれるお客様も、なぜかセレブと呼ばれる階級の人達ばかりで、実はそれも最初のとっかかりは その人が…… 瞳の行方を随分捜したが わからずじまいで、突然電話があったのが、事故に遭う三日前だった。