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第90話

「新婚早々いきなりお父さんか。そりゃ大変だな… わかった。 君達や会社にとって一番いい解決法を考えよう。 任せときなさい。 今日は取り敢えず定時にあがるといい。」 「ありがとうございます! お手数おかけします、よろしくお願い致します!」 深々と一礼して顔を上げると、課長が優しい眼差しで俺を見ていた。 「相沢君、なにかと大変だけどな、困ったことがあったらすぐ言いにおいで。一応その道の先輩だからな。 …幸せになれよ。」 「はいっ!」 さすが『仏の片岡』、器が違う。すっげー心強い。 あの人もいろいろあったんだろうな。 感慨に耽りながら席に戻ると、やっぱり、山のような仕事量で、俺は両頬をパンと叩いて気合を入れると、指輪の件でチャチャを入れてくる奴らを適当にあしらいながら、猛烈な勢いでそれらを片っ端から処理しはじめた。 しばらく気を抜けないな…

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