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第399話

到着まで、長い、長い時間に感じた。 飛び込むように時間外ドアをすり抜け、智の元へただひたすら走り続けた。 「智っ!!凛っ!!」 「翔?お帰り…」 「智っ!!!!!」 ベッドに横たわる智に抱きついた。 よかった…智、生きてる… 点滴を打たれている手を回し、智も俺を抱きしめた。 「翔だぁ…本物の翔だ。会いたかったよ…お帰り… 翔…ごめん。お前が事故に遭って大変な状態だって聞いた瞬間、頭が真っ白になって…気が付いたらここにいたんだ。 帰国したばかりで疲れてるのにごめんな… せっかく三人で手巻き寿司食べようと用意してたのに…ごめんな。」 「なんで謝るんだよ…ごめん、こんな目に合わせてごめん…俺はお前を傷付けてばかりだ。 ごめん、ごめんな、智… 凛!凛もごめんな、それとありがとう。 お前、SPと救急車来るまで人工呼吸してくれてたんだって?偉いな、強いなぁ…怖かっただろうに、ありがとうな。」 涙の跡がついた頬をそっと撫でて、凛をぎゅうぎゅう抱きしめる。 ノックの音と 「失礼します。」 「どうぞ。」 ドクターが事務次官と一緒に入ってきた。 「意識も戻っているので、もう安心ですよ。 ものすごいショックを受けられたんですね…検査の結果も問題ないですし、点滴が終わったらお帰りになっても大丈夫ですよ。」 「本当ですか?よかった…」

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