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第400話

「お帰りの時は、私がお送りします。 外でお待ちしてますので、お声をかけて下さい。」 一礼して中谷氏とドクターが出て行った。 「…なんでそんなことになったのか、佐々木さんっていう秘書さんから聞いたよ。 あんまり幸せそうで揶揄ってやりたかったって。 羨ましかったんだって。 ちょっとしたイタズラのつもりだったって。 だから、翔のせいじゃないから。 お前が事故ったんじゃなくてよかった… 無事に帰ってきてくれてよかった。 それに、お医者様ももう大丈夫って… おい、泣くなよ、翔…俺、本当に大丈夫だから。」 涙が溢れて止まらない。 自分の不甲斐なさと、大切な伴侶と娘を傷付けられた怒りと、いろんなことに対するやるせなさとで… 情けない。大切な人達を守れないなんて。 俺は智の頭に自分の頭をくっ付けて、声を殺して男泣きに泣いた。 その間、智はずっと俺の頭を撫でてくれていた。 凛がそっと抱きついてきた。 しばらく泣いた後、智を見ると、薄っすらと涙を浮かべていた。 とてつもなくキレイで見惚れていると、頬をむにむにと摘まれた。 「早く帰ろう。お前の顔見たら元気になってきた。お腹すいたよ。なぁ、凛。ごめんな。 遅くなっちゃったけど、帰って手巻き寿司食おーぜ。」 こくこくと頷いて、そっと…キスをした。

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