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第401話
side:智
起き上がってもフラつかない。
もう、大丈夫だ。
普通に息ができるし、どこも痛んだりしてない。
それにしてもタチの悪いイタズラだった。
いい年した大人があんなことするか?それもある程度社会的に上の立場の人間だろ?
意識がなくなるなんて…心肺停止になるなんて…びっくりしたけど、側にいた凛の方がショックを受けてるんじゃないのか?
頬に乾いた涙の跡がついていた。帰ったら拭いてやらなきゃ。
一瞬呼吸が止まって意識がない俺に、泣きながら人工呼吸していたと後で聞いた。
こいつ、スーパー園児だよな…
いろいろ考えながら身支度を整えて
「翔、凛、帰ろうか。」
「智、大丈夫か?しばらくここにいるか?」
「嫌だ。早く帰りたい。なぁ、凛。」
「うん。りんかえりたい。」
「わかった。じゃあ、抱っこする」
「いや、自分で歩けるからいい。」
「…頼む。歩かせたくないし、俺が抱きしめたいから…お願い。」
しょげかえって泣きそうな翔に、黙って両手を差し出すと、うれしそうに横抱きをして頬をすりすりと寄せてきた。
大好きな嗅ぎ慣れた匂いが俺を包む。あぁ、翔だ…何度も夢に見てた翔だ…さっきベッドに横たわった俺を抱きしめていたのは幻ではなかったんだ…
そのまま部屋を出ると中谷氏が立ち上がって言った。
「本当に申し訳ありませんでした。
では、お送りいたします。」
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