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第402話

side:中谷 最初、単なる揉め事かと思っていた。 しかし、ただならぬ五十嵐君の怒鳴り声とそれに続く携帯から流れ出た女の子の泣き叫ぶ異常な声と、床にへたり込んだ川崎が目に入った。 緊急事態! 「何かあったようです。失礼します。」 急いで走り寄り、真っ赤な顔で怒りに震える五十嵐君に尋ねる。 「どうしたんですか?何があったんですか?」 「こいつらが俺の伴侶に変な電話しやがって、ショックで倒れて、息をしてないって… 早く救急車を呼ばなきゃ…」 「私にお任せ下さい。ご自宅ですね?おい、佐々木!」 側にいた佐々木に、五十嵐君の自宅を教えすぐに救急車の手配と搬送先の病院の連絡、小声で『心肺停止だ。大至急。』と告げ、それと彼ら専用の警護を向かわせるように冷静に指示をすると 「さあ、早く!病院へ直行しましょう!」 と五十嵐君を促して車へ向かう。 命に別状がなければよいのだが。息をしてないのなら…五分五分か。頼む、間に合ってくれ。 五十嵐君は、座り込んで震えている川崎に言い放った。 「単なるイタズラじゃすまないぞ。 智に何かあったら…お前らを殺す。」 川崎達が何をしでかしたか、何となく想像はついた。 今はこいつらに構っている暇なんかない。 「川崎、古谷。私が戻るまで待機してなさい。 わかりましたね? 高橋、後のことは君と森口に任せる。 頼んだよ。」 そして、すぐに総理の元へ走り 「緊急事態です。川崎、古谷 両名の心無いイタズラで、五十嵐君の伴侶がショックを受け心肺停止状態です。 すぐに救急車とSPを向かわせています。 私が直接五十嵐君に付き添って病院へ行きたいと存じますがよろしいですか? 都度ご報告させていただきます。 この件に関しては後程詳細まとめてご報告申し上げます。」

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