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第403話
彼は一瞬絶句し
「…なんだって??バカなことを…
彼らは明日結婚式なんだぞ?それを…
わかった。最善を尽くしてくれ。頼んだぞ。」
「はい。承知いたしました。」
パトカーに先導させて病院へ向かわせる。
社内の空気は最悪だ。
結婚式が間近だというのにスケジュールを全て空けさせ、無理矢理同行させた上、やっとの思いで帰ってきた矢先の出来事。
一日千秋の思いで待っていたであろう恋人に余りの仕打ち。
家族を事故で亡くした彼らにとって、『事故』という言葉自体、NGワードであろうに。
なんてことをしでかしたんだ。
あの二人に対して強烈な怒りが込み上げる。
とにかく冷静にならなければ。
佐々木から連絡が入った。
「相沢さんの意識が戻りました!自己呼吸できて、落ち着いています!
一過性の精神的なものらしいのですが、念のためにすぐに検査をしてもらいます。」
「そうか!よかった…
あ、凛ちゃんは?どうしてる?」
「大丈夫です!利発で気丈なお子さんで…
SPと救急車隊員の到着まで、一生懸命に人工呼吸してたそうですよ。泣きながら。
…胸が熱くなります…」
「承知した。ありがとう。そのまま引き続き頼む。」
「はいっ!またご連絡させていただきます!」
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