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第418話
女性と違って、俺達は着替えの手伝いも化粧も必要ない。
自分で自分のことを済ませると、もうスタンバイオッケーだ。
それでも、お互いにネクタイの結び目を直し、ワックスで髪をちょっとオシャレに撫で付けた。
智…なんて綺麗なんだ…見惚れて思わず、ほおっとため息が出る。
「何?どこか変?」
「ううん、その逆。綺麗すぎて…見惚れてた。」
「…何言ってんの。翔のほうが…素敵過ぎて…直視できない…」
周りに誰もいなければ、抱き寄せてキスできるのに…我慢して手を繋ぐだけにする。
凛はさすがに女の子。
あれやこれやと、えんまりさんにオーダーしてはキラキラなお姫様に変身していく。
「凛ちゃん、これでいかが?」
「えんまりさん!かんぺきです!」
うふふっと二人で笑いながら鏡を見てご満悦な凛は、どうやら仕上がったらしい。
「おーっ、凛!なんだかお前が主役みたいだな。」
「かわいいぞ!俺達、霞んでしまいそうだなぁ。」
「しょうもさとしも、おうじさまみたいよ!
めっちゃかっこいい!すてき!!」
三人の誉め殺し合いが終わり、この後は写真撮影が待っている。
智は俺をじっと見つめると、不安気に揺れる瞳で呟いた。
「翔、ありがとう。本当に俺でいいのか?」
「何言ってんの?お前だけ、お前しかダメなんだ。
お前がいいんだ。」
熱く見つめ合う俺達…
と、そこへ
「ねぇねぇ、しゃしんやさんが、あっちのへやにきてくださいっていってるよ!!」
凛のはしゃぐ声が割って入った。
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