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第430話
中に案内されてまた驚いた。
外の鄙びた佇まいとは違い、床暖房が設置され足元は暖かく、畳でもソファーでも寛げるように、洋間と和室に分かれていた。
洋間は黒を基調としたモダンな内装で、奥にはキングサイズのベッドルームがあった。
露天だけでなく内風呂もあり、ここに必要なものは全て揃っているようだった。
食事用の部屋はまた別にあり、プライベートな空間とはまた一線を画していた。そこにはもう、夕食の準備がされていて、いつでも食べられる状態に整えられていた。
「お食事になさいますか?それともお風呂になさいますか?」
「そうだな…先に食事をしようか、智、どう?」
「あぁ、お前に任せるよ。」
「俺達、勝手に自分でやるから、下がってもらっていいよ。終わったら声掛けるから。」
「あら、そうですか?お飲み物はどうなさいます?」
「それも勝手にするからいいよ。何でも揃ってるでしょ?」
「まぁ、よくご存知で。それでは、何かございましたら、お申し付け下さい。
ごゆっくりお楽しみ下さいませ。」
女将が一礼して出て行くと、俺は大きなため息をついた。
「翔…一体ここいくらなの?物凄く高いとこでしょ?そんな…普通のところでよかったのに…勿体ない…」
「なーに言ってんだよ。新婚旅行だぜ?
ちょっとはダンナらしいところを見せたいじゃん?
せっかくなんだから、そんなこと気にせずに俺に任せて楽しんでくれよ。」
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