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第434話
「智…俺と結婚してくれてありがとう。一生…側にいてくれ。愛してるよ。」
「翔、俺と出会って、結婚してくれてありがとう。こんな俺だけど…一生側に置いて欲しい。愛してるよ。」
二人で見つめ合ってグラスを合わせ、一口。
ふふっと溢れる微笑みがとてつもなくうれしい。
着火剤に火を付けてくれるのをぼんやりと眺めていると、目の前のイケメンが『どうした?』と目で尋ねてくる。
「なんでもないよ。」
にっこり笑って返せば、ホッとしたような顔。
こだわった器に盛られた数々の料理はどれも美しく、一つ一つ翔が『これはノドグロの焼き物だ』とか『これは海老しんじょ』とか教えてくれ、それに頷いてみせるが、実はほとんど頭に入ってこない。
口に入れても、美味しいのはわかるのだが…何とか完食して一息ついた。
なぜ?そんなこと分かりきっている。
これからの時間、この愛する男と二人っきりなのだ。緊張し過ぎている。鼓動が激しく、手の平はじっとりと汗をかいて、指先は冷たくなっていた。
俺の様子が少し違うことに気付いた翔は横に来ると、俺を横抱きにして抱きしめてきた。
「智、どうした?気分でも悪い?どこか痛む?」
「…違う。」
「… 何か嫌だった?」
「…違う。」
何か言いかけた翔の唇に人差し指を立て
「違うんだ。お前と…二人っきりなんて…何か恥ずかしくて、緊張しちゃって…むぐっ」
話の途中で翔に唇を奪われた。
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