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第433話

叱られた犬のようにうな垂れた翔をそっと抱きしめると 「そりゃ、見世物パンダみたいでちょっとびっくりしたけど…でも、お前だって俺をみんなに紹介したかったんだろ? お前のことを思ってくれる人がここにもいることがわかって、俺はうれしいよ。 もう、誰も来ないんだろ? 料理も美味そうじゃん!後で感想も言わなくちゃならないんだろ? さあ、早く、いただこうよ!」 途端にぱあっと明るい顔になった翔は 「やっぱりお前はサイコーの嫁だっ!」 と叫んで顔中にキスを繰り返す翔を制して押し返すと、ぷくっと膨れて少し不満げに座り直した。 「はい、いただきます!」 (俺は後でたっぷりお前をいただくからな)と小さな声で呟く翔を軽く睨んで、(俺だって…一週間我慢したんだ。食事の間くらい我慢しろよ)とささやくと、目を大きく見開いて 「マジ…?智が…デレた?うっそー!マジ?」 真っ赤な顔で俺を見つめるから、俺まで顔も身体も火照ってきた。 「…ばかっ!これ以上…言わせるなっ!」 「うっ…早く食おう!飲み物っ!飲み物!日本酒?いやワイン?ワインでいいか?いいよな?」 お互い照れまくって、翔はあたふたとワインクーラーから一本取り出して、慣れた手つきでコルクを抜くと、優雅にグラスに注いだ。

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