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第432話
年配の板長は、にかーっと笑いながらうれしそうに茶化している。
少し若い次板 さんは
「五十嵐君、おめでとうございます!フロントや中居達、総崩れで泣いてますよ、くっくっくっ。
うん。噂に勝る美人さんだ。こりゃぁ、うちの女どもは太刀打ちできないよ。
どうかお幸せに。五十嵐さんのこと、よろしくお願いしますね。」
褒められてるのか、けなされてるのか…どういうリアクションをとったらいいのか…その『べっぴんさん』とか『美人』とか、マジで止めてほしい。
それでも
翔がここのスタッフさん達にかわいがってもらってるのはよくわかった。
俺は座布団から降りてきちっと正座をすると
「至りませんけど、こちらこそどうぞよろしくお願い致します。」
と頭を下げた。
その思い掛けない俺の態度にびっくりしたのか
「えっ?、こりゃまたご丁寧に…ありがとうこざいます!
じゃあ、五十嵐君、ごゆっくり。もう、誰も来ないように言ってあるからな。また後で味の感想聞かせてくれよな。」
二人はうれしそうに笑いながら出て行った。
ふぅーっとため息をついた俺に
「なんか、ごめん。みんな悪気はないんだ。お前のこと、気になって仕方がないんだよ。
俺、一か月ほどここでも修行させてもらったことがあって、女将を始めさっきの板長とかにも息子みたいにかわいがってもらっててさ…
旅行先を選ぶ時も、随分悩んだんだ。知り合いのところだし。でも、ここしか思いつかなくて。」
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