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第2話

 ピンポーン。  玄関のチャイムが鳴った。  俺はテレビドアホンで、来訪者を確認する。  朝、着て行った通りのスーツを着たヒロだ。  俺はドアを開ける。 「ヒロ、おかえり。時間通りだね」 「うん」 「ヒロ、ご飯できてるよ。ヒロの好きなハンバーグ!」 「うん」  相変わらずのヒロの対応。  もう二年も一緒だと慣れてはきたけれど。  せめて、「ただいま」ぐらいは言って欲しいかな。  ヒロをダイニングに呼び、二人で夕食をとる。 「どう、美味しい?」 「うん」 「ヒロ、ハンバーグ大好きだよね?」 「うん」 「サラダのドレッシングも替えてみたよ」 「うん」  響かない声。  ヒロにちゃんと俺の気持ち伝わっているんだろうか。  少し不安になる。 「……っ!」  体温が熱くなってくる。  強いけだるさを感じる。 「レイ……っ!」  俺の匂いを嗅ぎ取ったヒロは、立ち上がる。  俺はハァハァと息を切らせ、ヒロに抱きつく。  俺はヒロにお姫様抱っこをされ、リビングに連れていかれる。  リビングまで行くと、ヒロはソファーに俺を組み敷いた。  ……情動が収まらない。  もうヒロのことしか考えられなくなる。 「ヒロ、もっと……」 「……ああ、わかってる。レイ」  言葉だけじゃ交わせない絆。  服を脱がされ、ヒロは俺のうなじに嚙みつく。 「大丈夫だ、レイ。俺がいる」  ヒロ……。  身体でヒートを感じながらも、俺はヒロの言葉で癒される。  俺には番になったヒロがいる。  大学の頃、ヒート症状で見ず知らずのαに襲われたことがある。  何度もそういう事を味わって、俺は大学に行くのが怖くなった。  そんなとき、同じサークルに所属していたヒロと知り合った。  最初は普通の友達だった。  それから恋人になり、今では番になっている。  大学を何とか卒業できたのもヒロがいてくれたおかげだ。 「……っ……ん」  ヒロは性急なことはしない。  俺の状況を見ながら、無理のないようにエスコートしてくれる。  いつも塩対応のヒロが甘い砂糖を与えてくれる時。 「ヒロ……」 「……きれいだよ、レイ……」  俺は涙を流しながら、ヒロの愛情を受け止めた。 「……ありがとう、ヒロ」  ヒロは何も言わず、口にキスを落とす。  プルルルル…。  無粋な着信音が鳴る。  ヒロは『悪い』と言って立ち上がる。 「ええ。それはクライアントがA案がいいという話で……――」  仕事の話のようだ。  もう甘い砂糖の時間は終わりかな。  俺は脱ぎ捨てられた服を、袖に通していく。  電話を終えると、 「レイ、悪かった」 と、ヒロが謝ってくれる。  俺は首を横に振った。 「ヒロは、側にいてくれるだけでいいんだ」  ヒロは、満足そうな顔を浮かべ、俺の頭を撫でる。 「ヒロ、ハンバーグ食べよう」 「ああ」  ヒロは脱ぎ捨てた服を拾い、身に着けた。  俺とヒロはダイニングに戻り、すっかり冷めてしまったハンバーグを食べ始める。 「冷えちゃったね、ごめん」 「美味いよ」  ヒロの一言で、俺は胸いっぱいになる。 「ヒロ、コーヒー飲む?」 「うん」 「砂糖は?」 「……要らない」  コーヒーまでは甘くなれないようだ。 Fin.

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