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新たな旅路 18
なかなか寝付けなくて…キッチンへ向かう。
その時美陸に貸した部屋から何か音がする。
眠れない?場所が変わると眠れない人がいるから…
美陸の分のミネラルウォーターを持ちノックするけど返事は戻ってこない。
悪いとは思いながらもそっと扉を開く。
ベッドの真ん中に丸い溜まり。あぁ…気のせいだった…寝てる……?
気になって側に静かに近づくと…
「っく…う…ん…え…ぐっ…」
「…美陸さん?」
「…え…う…」
「…」
布団を無理矢理はぐ。
「はぁ…眠れないの?何一人で泣いてるの?呼んでっていったよね?」
「な…ちゃ…」
「バカ…ほら。水」
「う…ありがと…」
蓋を開けて渡す。こくこくとゆっくり飲んでいる姿は…小動物のよう…
「落ち着いた?」
「ん…ごめ…」
「いいよ。ねぇ。少しそっちずれてよ」
「え?」
「早く」
「ん…」
ずれてもらった場所へ体を滑り込ませ美陸を抱き締める
「な…ちゃ?」
「いいから大人しく抱かれてろ」
「…な…おっとこまえぇ…その言い方なんかエッチぃ…」
「うるさい。ほら」
「なーちゃんになら抱かれてもいい」
「お前はやはりバカなのか?」
「えへっ」
「まぁいいけど」
「な…ちゃ…あったかいね」
「美陸は体温低いね。気持ちいい」
ほどよい体温が心地いい。なんだかすごくしっくり来る。
「ねぇ。美陸。無理に寝ろとは言わない…でもさ…肩の力抜いて?僕は怖いことはしないから…ね?」
ずっと…体が強張ってるのを感じてた…怖いことは何もないよ…だから…休もうね…
「なーちゃん…ありがと」
子供をあやすように美陸の背中を撫でていると少しずつ力が抜けてきた。
「いい子…大丈夫だからね」
暫くすると規則正しい寝息が聞こえる。よかった…眠れたんだ…安心して僕もそのまま眠りについた
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