1 / 690

第1話

春の暖かな日差しを浴びて目を覚ます 沢山の花々が咲き誇り、それを喜ぶかのように鳥が囀っている ゆっくり伸びをしてまだ重いまぶたを擦りながらベッドから起き上がる。 今日も1日が始まる。とはいえやることは何も変わらないのだけれど 俺、片桐 星が通う神楽学園は自分で言うのもなんだが、有名な歴史ある名門進学校である。 勉強が特別好きというわけではないし将来有名大学を出て大企業に勤めたいという願望もない。 ただ家から近く男子校であるという理由だけでそこへ決めた。 こう言うと嫌味にしか聞こえないかもしれないが一生懸命勉強したことはない。 俺は一度見たものは覚えてしまうという特技を持っているため改めて勉強する理由がないのである。 それ故、必然的にずっと学年主席を守っている。 神楽学園は勉強だけでなくスポーツの方にも力を入れている。 どの部活も全国大会常連であるため憧れを抱き入学を希望する者も多い 俺は帰宅部だから関係ないが、色々な部活で助っ人を頼まれることが良くある。 まぁその要望に応じたことはないけれど。 何が言いたいかというと要は運動も人よりできるということだ 話だけ聞いているとかなりモテそうだと思われるかもしれない。でも残念ながらそれはない。 理由は簡単。見てくれが悪いからだ。 188cmの身長にも関わらず、常に猫背。目まで隠れる髪は真っ黒なボサボサ。顔にはビン底黒縁メガネ。 ほぼ言葉も発しない。 そんな男に興味は持っても好意を抱くものなんて多くはないだろう。

ともだちにシェアしよう!