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第131話

「おはよう。せいちゃん」 「おはようございます。彩芽さん。今日は宜しくお願いします」 今日は自社ブランドの新作の発表の為の撮影だ。 数名のモデルたちを呼び行うのだが… 「カイが事故にあって急遽代役を」 そんな声が聞こえる。カイはブランド立ち上げ当初から専属でとても人気のあるやつだ。 「カイが事故って?」 「あ…来る途中にカイが乗ってた車が追突されたみたいで大きな事故ではないんだけど念のため今日は入院になってしまって…」 開始時間はあと僅か…カイが着るはずだったものは5着…独特なフォルムなのでカイと同等レベルの者でないと着こなせない… 「代役は見つかりそう?」 「それが…カイさんに体型が近いモデルたちが皆空いてなくて…」 「ちょっと待って…考える…」 カイの身長は180弱。ただ股下が長いので高く見える。…体系的には… 「俺の知り合いでも良い?プロではないけど多分やりこなせるはず。先に他の撮影始めてて」 そして思い浮かんだ者に連絡をする。すぐに来てくれた。 「悪いな。望月。急に無理言って」 「あ…いえ…でも俺にカイさんの代役勤まりますかね?」 「大丈夫。お前。カイの出てる雑誌よく参考にしてただろ?」 「見てるのとやるのじゃ違うんじゃ…」 「宮部そこで見てるんだからいつもと違う自分で意識させたら?」 そう言うと真っ赤になりながら宮部の方を伺っていた。 「宮部もこっち来て」 「はい」 「宮部にも撮影入ってほしいんだけど」 「えぇぇぇぇぇ!!俺チビだから先輩のブランドなんて着こなせませんよ」 「どうしてもモデルに着せたかったけど出来なかった分があるんだ…」 メイクを終え着替えた二人を交互に見る。 「やっぱ正解。お前らなら大丈夫」 「先輩…嶺はいいけど俺のこれって…」 「あぁ。子供服だ」 「ですよね?」 不服そうな宮部に向き直る 「お前の華奢さと身長の大人の人って沢山いるんだけどサイズ見つけるの大変だろ?人にはよるけど子供服を来た方がよく見える場合も多くあるんだ。だから子供服なんてって思っている人にも良く見えたらもっと着たいものの幅が広がるかなって。今や子供服も大人っぽいのが多いから気軽に流行りのお洒落も楽しんで欲しいからお前が着ることで抵抗がなくなれば良いなって思ったんだけど…」 「わかりました…」 「ありがとう」

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