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第185話

朝陽side 「朝陽。大丈夫か?」 いつの間にか浴室へやって来ていた十夜の方を振り返る 「朝陽…」 十夜は側に来て僕を抱き締める 「朝陽…ごめんな…俺…星夜がいるのに…」 「僕が求めたんだから十夜は悪くない。十夜は平気?」 「…」 天井を見上げる十夜は今は存在しない美那のことを思っているんだろう。 「朝陽…一緒に落ちてしまおうか…」 様子のおかしい十夜をただ見上げていた ふっと優しく笑う十夜がそっとキスをしてくる 涙が溢れた 「朝陽…側にいて…」 弱りきった十夜を抱き締め返した。 きっと十夜も後悔しているのだろう 「十夜…一緒に行こうか…」 風呂から上がり重い体に鞭を打ち部屋を片付ける。 自分の残骸を捨てていく この七年間とても幸せだった。 せいくんと過ごせて良かった… 最後に薬指にはまる指輪を外し部屋を後にした せいくんにサヨナラのメールを送る 溢れる涙を止めることもせず十夜と手を取り合いながら踏み出した

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