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第190話

「お久しぶり。朝陽くん」 「水琴さん…」 「良かった…目が覚めて… 美那がいなくなってあなたたちまでいなくなったら私は…もう…」 名前の通りの美しい声が響く。十夜さんの婚約者だった美那さんの母親だった 「あなたたちは私の子供も同然なのよ… 勝手に先に逝かないで…」 頬を伝う途切れない雫は宝石のように輝いていた 側に来て朝陽さんを抱き締めそっと頭を撫でる 「よかった…本当によかった…」 「うわぁぁぁ…」 子供のように泣く朝陽さんをずっと胸に抱いていた 「朝陽くん…美那の分まで生きて…お願いよ…」 本当の母親のような慈しむ視線はたまらなく胸を打った 「ごめんなさい…ごめんなさい…美那…ごめんなさい…水琴さん…ごめんなさい…せいくん…ごめんなさい…みんなごめんなさい…」 泣き疲れそのまま眠った朝陽さんをそっとベッドへ横たえる トントンと優しく朝陽さんの胸を叩いていた水琴さんの目にはまだ涙が浮かんでいた

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