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第189話
「朝陽さん。おはようございます。やっとお目覚めですか?」
「せいくん?」
状況が読み込めない様子の朝陽さんの髪を指に絡め遊ぶ
「もう起きないかと思って焦っちゃいましたよ」
たまらなくて震える朝陽さんを抱き締めた
「何で…僕は…十夜と…」
「十夜さんはまだ眠っています」
美那さんが亡くなったと…それが判ったとき悠紀さんは嫌な予感がし薬品庫の薬瓶の中身を全て入れ換えていた
十夜さんが持ち出したのは強めの睡眠薬に入れ換えられた瓶だったのだ
「どうして…どうして逝かせてくれなかったの…僕らは許されない罪を犯したのに…」
「許されないことなんてしてないですよ。少なくとも俺は全く怒っていません…
あー…勝手に別れ話して完結されたことはかなり怒ってますけど…」
「嫌だ…逝かせて…僕はもう…」
泣きじゃくる朝陽さんを慰めるように背中を撫でる
「朝陽さんがいなくなったら俺は後を追いますよ。朝陽さんがいない世界なんて生きている意味ないから」
ずるい言い方だがそれが俺の本音だった
少しずつ落ち着きを取り戻した頃悠紀さんがやって来た。
とても綺麗な女性と共に
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