192 / 690
第192話
眠る朝陽さんを残し神楽坂先輩の部屋に行く
朝陽さんより多く薬を飲んでしまったのかまだ目覚める気配はなかった
悠紀さんによれば薬の量もだが精神的な面が大きいとのことだった
綺麗な顔で眠る神楽坂先輩の頰には涙の跡が残っている
何度も眠りながら涙を流しているそうだ
夢の中で美那さんと会っているのかもしれない
先輩がこんなになるなんて想像もしていなかった
先輩ならすぐに切り替えられると思っていた
いつも何にでも完璧な人だったから
でも先輩だって1人の人間。
苦しそうな顔に自分まで胸が締め付けられる
恋人が…朝陽さんが同じようにいなくなってしまったら俺は自分ではいられないだろう
どんな言葉をかけても先輩の傷を癒すことは俺には出来ない
俺は側にいるだけ。話を聞くことだけしか出来ない
自分の無力さに愕然とする
「先輩。早く起きてください…」
ともだちにシェアしよう!