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第193話

朝陽さんは起きる度涙を流しながら叫ぶ 自分が傷付けられた時でさえ取り乱すことがなかった朝陽さん どんなに抱きしめても囁いても朝陽さんの涙が止まらない そんな姿に胸が痛くて何もできない自分が歯痒い 美那さんがどれだけこの人の中を埋め尽くしているんだろう 十夜さんとのことがどれだけこの人の中に罪悪感を植え付けてしまったのだろう どうすればまた俺をみてくれるのだろう… 「相馬くん」 水琴さんはほぼ毎日病室に訪れている 「相馬くんごめんね」 元々華奢だった水琴さんが日に日に痩せて行く。悠紀さんに栄養剤を投与してもらいどうにか保てている状態だ 美那さんのお父さんは数年前亡くなっていて彼女は1人になってしまった 「水琴。お前はもう自宅で休め」 悠紀さんがそう伝えれば弱く頷き帰って行く その後ろ姿が今にも消えてしまいそうで思わず追った 「水琴さん。送りますよ」 「ありがとう…大丈夫よ…」 弱々しい笑顔を浮かべる水琴さんの目を見つめる

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