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第194話

もう我慢の限界だったのか俺の胸に倒れこんで来た 「ごめんなさいね…相馬くん。少しすれば立てるから少しだけ胸を貸して」 「…」 無言で頷きそっと腕を回した 静かに涙を流す水琴さんの細い体をそっと抱き寄せる 「美那はね、とても優しくて明るい子だった。いつも自分が先頭にたってみんなを引っ張っていってた。私の自慢の娘だった。朝陽くんや十夜くんとは親同士が幼馴染で家も近かった。あの子達が幼い頃から成長を見てきたの。三人ともが立派に育った」 少し落ち着いた水琴さんをソファへ掛けさせる。 3人のことをどれだけ愛しているのか漂う空気で伝わってくる 「美那はね二人のこと怒ってないし笑ってると思う。自分がいないとダメなんだからって。美那のためにも早く二人には元気を取り戻して欲しい」 「水琴さん。俺、一旦向こうに戻ります。俺が今、朝陽さんの側にいるのは朝陽さんへの負担が大きいと思うんです。 逃げるようで申し訳ないけど… 朝陽さんが落ち着きを取り戻すまでは俺は目の前に現れません…現れることが出来ません…すいません…あんなに大きいこと言ったのに」 「ねぇ相馬くん。もういいのよ。自分のために生きても。朝陽くんのことはみんなで支えるわ。だから新しい道を進んでいってもいいと思う」 「俺の道の先には朝陽さんが居てくれないとダメなんです。だから必ず戻ってきます。もし朝陽さんがもう俺のことを選ばなくても…朝陽さんが何を選ぼうと俺は見守ります」

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