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第208話
「お久しぶりです」
「うん。元気だった?いつ戻ってたの?」
「二年ほど前です」
「そっか」
「神楽坂先輩はお元気ですか?」
「うん」
「良かった」
会話はもちろん続かなかった。
黙々と仕事をこなす。幾度目かの衣装チェンジを終えた頃他が回らなくなりそちらへ向かう
「片桐先輩?!」
「おぉ!望月。久し振り」
「お久しぶりです。スタイリストさんになってたんですね」
「まぁ」
「あの…大丈夫ですか?」
「仕事だしもう…過去…だし」
紛れもなく朝陽さんとのことを心配しているんだろう。
「随分男前になったな」
「ありがとうございます」
「お前がこっち側にくるなんてね」
「自分でも驚いています。俺実は演技ってこれが初なんです。これまでモデルしかしてこなかったから」
「お前なら大丈夫」
ポンポンと頭を撫でると懐かしい笑顔で去っていった。
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