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第243話
朝陽side
「せいくん…僕もね十夜の側にいることが一番幸せだって思ってた…でもね…せいくんのこと心のどこかで忘れられなかったんだと思う。十夜は僕がせいくんのこと諦められてないってわかってたって…僕たちは寂しかったからたまたま一緒にいただけ…欲望を満たしたいがために一緒にいただけって十夜が言うまでは気付いてなかった。
僕の中にはやっぱりせいくんがいる…だから…こんな僕だけどまた一緒に歩いていきたい…隣にいるのはせいくんがいい…」
十夜には沢山沢山救われた…十夜がいたから生きてこられた…十夜との日々は温かで柔らかかった…
とても幸せだった…
「これ…僕は一度手放したんだ…でも十夜が大切にしまっといてくれた…またこれせいくんがつけてくれる?」
十夜が返してくれたリングはまた輝きを取り戻したように僕には見えていた…
掌からリングを大切に持ち上げる…そして…せいくんが左手の薬指にもう一度着けてくれてあの時のようにリングにキスを落としてくれた
涙が溢れて止まらない…
「朝陽さん…改めて…宜しくお願いします」
せいくんがそっと手のひらを重ねた。
とても大きな温かい手だった。
笑顔はあのときのまま僕の大好きな顔だった
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