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宵闇の向こう側…33
「恐らく朝陽くんだと思う…出てくれるかい?」
星夜の…大切な人…選ばれた人…
星夜の柔らかい…あの時のような優しい声が聞こえる…
「朝陽さん…心配かけてごめんなさい…」
「せいくん…大丈夫なの?」
相手の人は泣いてる?とても綺麗な優しい声…
「なずな。見送りに行こう」
「やだ…」
「ちゃんと謝らないと…ねっ?」
「やだ…」
「おいで」
いやいやついていった…星夜が選んだ人なんて見たくないよ…でも優しく手を引かれたらそれ以上抵抗はできなかった…
星夜の選んだ人は今まで出会ったことがないくらい綺麗で儚くて…とても優しそうな人だった。星夜が心を奪われても仕方がない…この人の持っているものはきっと…僕にはない物。僕なんて足元にも及ばない…
「今度ゆっくり話をさせてくれないか?本当は今すべきなんだけど…ごめん…朝陽くん」
保科さんと知り合いなのはさっきの会話で何となくわかってた。疎外感を感じ苦しくて…保科さんの手をギュッと握った
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